The Japanese Journal of Antibiotics
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小児副鼻腔炎からの耐性肺炎球菌検出状況とclavulanic acid/amoxicillin投与症例の検討
杉田 麟也出口 浩一内藤 雅夫渡辺 洋原田 品子藤巻 豊小松 信行岡野 和洋吉田 悌友仙波 哲雄深本 克彦
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1999 年 52 巻 10 号 p. 613-627

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抄録

市中の耳鼻咽喉科診療所10施設において, 1997年11月から1998年5月までの期間に小児副鼻腔炎の検出菌の動向を調べるとともに, clavulanic acid/amoxicillin (CVA/AMPC;オーグメンチン®) 小児用顆粒若しくは錠剤およびamoxicillin (AMPC) 顆粒若しくはカプセルを2群に分けて経口投与し, 有効性を比較検討し, 以下の結論を得た。
1.中鼻道内容物からStreptococcus pneumoniae32.2%, Haemophilus influenzae32.0%, Moraxella subgenus Branhamlla catarrhalis25.1%などを検出した。上咽頭ぬぐい液からも同様の傾向で菌が検出された。
2.S. pneumoniaeのうち62.1%は薬剤耐性肺炎球菌 (PISP, PRSP) であり, 年々増加している事が確認された。
3.PISPおよびPRSPは38.6%の症例から検出され, 増加傾向が認められた。
4.Streptococcus pneumoniae, Hamophilus influenzaeおよびMoraxella subgenus Branhamella catarrhalisに対するMIC90値ではいずれの菌種においてもCVA/AMPCは優れた抗菌力を示した。
5.CVA/AMPCの臨床学的有効率, 細菌学的有効率および有用性はそれぞれ78%, 58%, 72.8%であり, いずれにおいてもAMPCよりも有意に優れた成績を示した。
6.CVA/AMPC投与例において下痢・軟便の副作用が11.2%に見られたが, AMPCとの間に有意差は認められなかった

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