1999 年 52 巻 2 号 p. 75-92
1994年に日本国内24施設から分離された臨床分離4,993菌株の抗菌薬感受性サーベイランスを, フルオロキノロン系抗菌薬を中心にして実施した。使用した抗菌薬はフルオロキノロン系抗菌薬4薬剤, β-ラクタム系抗菌薬12薬剤, ミノサイクリン, クロラムフェニコール, クラリスロマイシン, アミノ配糖体2剤, ST合剤, バンコマイシンの23薬剤である。
フルオロキノロン系抗菌薬に対し, 腸球菌, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌, コアグラーゼ陰性ブドウ球菌, 尿路感染症由来緑膿菌において著しい耐性化が認められた。しかし肺炎球菌, メチシリン感性黄色ブドウ球菌, 腸内細菌科の各菌種, インフルエンザ菌における耐性率は低く, フルオロキノロン系抗菌薬は有効であった。また現在問題となっているペニシリン耐性肺炎球菌, 第三世代セフェム耐性腸内細菌科, アンピシリン耐性インフルエンザ菌などの耐性菌にも有効であった。