The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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Bacteroides属, Prevotella属, Porphyromonas属に対する硫酸セフピロムの効果
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2000 年 53 巻 1 号 p. 26-45

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抄録
市販後特別調査として, 婦人科領域感染症を対象に硫酸セブピロム (cefpirome sulfate: CPR) の有効性および安全性を調査, 検討した。特に, Bacteroides属が検出された症例を抽出してCPRの臨床効果および細菌学的効果を調査, 検討した。また, 分離されたBacteroides属のCPRに対する感受性の経年的変化についても調査, 検討した。本調査における収集調査票は194例であった。そのうち168例が安全性評価対象症例, 146例が有効性評価対象症例であった。本調査では嫌気性菌が189株分離され, Bacteroides属 (55株), Peptostreptococcus属 (65株), Prevotella属 (51株) が多く認められた。CPR承認前の旧分類のBacteroides属 (現Bacteroides属, Prevotella属, Porphyromonas属) は合計112株であった。菌種でみると, Bacteroides fragilisが26株, Prevotella biviaが25株であった。有効性評価対象症例146例の臨床効果は「著明改善」12例, 「改善」110例, 「やや改善」9例, 「不変」15例で, 「悪化」と判定された症例はなかった。「著明改善」と「改善」を合わせた改善率は83.6% (122例/146例) であった。旧分類の, Bacteroides属, すなわち現分類のBacteroides属, Prevotella属, Porphyromonas属の3属のいずれかが分離された症例は102例であり, その臨床効果 (改善率) は83.3% (85例/102例) であった。現分類のBacteroides属, Prevotella属あるいはPorphyromonas属が検出された症例の改善率は, それぞれ83.0% (44例/53例), 86.0% (43例/50例), 83.3% (5例/6例) であり, 3属ともほぼ同程度の成績であった。菌種別にみると, B.fragilis分離症例, P.bivia分離症例はどちらも25例であり, 改善率はそれぞれ84.0% (21例/25例), 88.0% (22例/25例) であった。.Bactmides属の消失率は68.5% (37株/54株), Prevotella属は77.6% (38株/49株), Porphvromonas属は100% (5株/5株) で, Bacteroides属がやや低かった。これら3属を合わせた旧分類のBacteroides属108株の菌消失率は74.1% (80株/108株) であった。菌種別にみると, B.fragilisの消失率は73.1% (19株/26株), P.biviaの消失率は75.0% (18株/24株) であり, 両菌種の消失率はほぼ同じであった。本調査成績からは, B.fragilisをはじめ.Bacteroides属, Prevotella属あるいはPorphyromonas属の細菌が, CPRに対して, 細菌学的に, あるいは臨床的に, 耐性化傾向を示しつつあるという顕著な徴候は認められなかった。承認前には報告がなかった副作用として間質性肺炎, 血圧上昇のそれぞれ1例報告された。
したがって, CPRは, 現在のところ, Bacteroides属による感染症に対して承認時の有効性を維持していると考えられる。しかしながら, 今後も, 産婦人科領域細菌感染症では重要な原因菌である嫌気性菌に関する研究の継続は必要であると考えられる。
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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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