The Japanese Journal of Antibiotics
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北摂地域における肺炎球菌の薬剤感受性と血清型について
杉田 久美子若宮 英司西村 忠史肘岡 澄子久後 優子小国 龍也吉川 賢二杉木 正夫植村 隆井上 伸
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2000 年 53 巻 7 号 p. 512-521

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抄録

肺炎球菌は呼吸器感染症の主要な病原菌で, 近年耐性菌の増加が指摘されている。今回, 北摂地域における肺炎球菌の現状を把握するため, 1998年1月~12月の間, 呼吸器感染症患者の呼吸器材料より分離された肺炎球菌113株の薬剤感受性ならびに血清型について検討した。その結果, 113株中PSSPは29株 (25.7%), PISPは58株 (51.3%), PRSPは26株 (23.0%) であった。経口抗菌薬ではCCL, CPDX, CFDN, EM, CLDM, MINOのMICは高値であったが, CDTRのMICが0.03~1.0μg/mlで比較的良い抗菌力を示した。次にpenicillin耐性菌81株のIPM, MEPM, VCMに対する感受性をみたが, MIC分布はそれぞれ0.015~1.0, 0.015~2.0, 0.13~0.5μg/mlで良い感受性を示した。血清型では19型が60株中18株 (30%), 6型が15株 (25%), 23型が11株 (18.3%) であった。これら3血清型菌は他血清型に比べ耐性率は高く, 19型が最も高率であった。今回, 耐性肺炎球菌は全体の74.3%であったことから, 重症感染症では早期より耐性菌を考えた化学療法が必要であり, また抗菌力の良くない経口抗菌薬も少なくないことから, 外来治療においても難治性や再発性疾患では耐性菌の関与を考えた抗菌薬選択が必要であると思われた。

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