The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
細菌性腸炎起因菌に対するホスホマイシンの抗菌力
福山 正文古畑 勝則大仲 賢二原 哲郎砂川 慶介
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 53 巻 7 号 p. 522-531

詳細
抄録

細菌性腸炎起因菌の中で主として抗菌薬治療の対象となるサルモネラ, 大腸菌, カンピロバクターに腸管感染症として重要な赤痢菌を加えて, ホスホマイシン及びニューキノロン系薬の試験管内抗菌力を検討した。また, 腸管感染症の炎症局所条件を試験管内で作成, 抗菌力を測定し, 通常条件下での測定値と比較した。
通常条件でのE. coli 77株, Shigella spp. 50株, Salmonella spp. 41株に対するTFLX, NFLX, LVFXのMIC90はそれぞれ≤0.025-0.10, 0.10, 0.05μg/mlであった。
FOMのMIC90は0.39-1.56μg/mlと高い値であった。Campylobacter spp. 49株に対してはTFLX, NFLX, LVFXのMIC90は6.25, 100, 3.13μg/mlであった。FOMのそれは50μg/mlでありNFLXより低い値であった。pH5.0, Na+, ウマ血液5%添加で嫌気条件でも, FOMのMIC値の変化は少なく, MIC90を通常条件下と比較するとその比は1-2であった。しかし, ニューキノロン系薬においては約4-50であり, 炎症を想定した条件ではMIC値の上昇が大きかった。すなわち, FOMは炎症局所においてはニューキノロン系薬と同等もしくはより優れた抗菌力を発揮するものと推測された。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事
feedback
Top