The Japanese Journal of Antibiotics
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尿路感染症分離菌に対する経口並びに注射用抗菌薬の抗菌力比較 (第21報1999年)
その3. 感受性の推移
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2001 年 54 巻 6 号 p. 231-322

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抄録

1999年8月から翌年7月までの問に全国9施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Eeterococcus faecalis, Staphylococcus aures, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aerugiginosa) を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1991~1998年と1999年の感受性を比較した。比較は菌種を単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む) に分類して行った。
E. faecalisでは, 前年にみられた低感受性株の増加は改善される傾向にあった。しかし, Vancomycin (VCM) のMICが4μg/mlの株が単純性および複雑性尿路感染症で1株ずつみられた。セフェム系薬剤, Imipenem (IPM) およびVCMに対するS. aureusの感受性株が多くみられ, 前年までに比べMIC50が低値であった。複雑性尿路感染症でArbekacin (ABK) に低感受性を示す株が前年に続き検出され, MICが16, 32μg/mlの株が1株ずつ認められた。E. coliではペニシリン系薬剤とMinocycline (MINO) を除き, いずれの薬剤に対しても感受性は良好であった。また, キノロン系薬剤を除き, E. coliの低感受性株の減少が認められた。Cipronoxacin (CPFX) とSparnoxacin (SPFX) に対しては複雑性尿路感染症での感受性が, 単純性尿路感染症に比べMIC90でみて3段階低かった。Klebsiella spp. では1998年に単純性尿路感染症においてセフェム系薬剤に対する低感受性株の減少が認められたが, 1999年は複雑性尿路感染症でも低感受性株は減少し, ほとんど検出されなかった。また, キノロン系薬剤に対しても前年までに比べ感受性は良好で, MIC90はいずれも0.5μg/ml以下であり, 低感受性株も検出されなかった。一方, Gentamicin (GM) に対してはMICが8μg/mlの低感受性株が1株検出された。P. aeruginosaではカルバペネム系薬剤に対する感受性が良好であり, 複雑性尿路感染症ではMeropenem (MEPM) とIPMのMIC90が1998年に比べ2段階良くなり4μg/mlであった。その他の薬剤でもモノバクタム系薬剤を除き, 耐性株が減少した。

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