The Japanese Journal of Antibiotics
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尿路感染症分離菌に対する経口並びに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第22報 2000年)
その1. 感受性について
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2002 年 55 巻 4 号 p. 370-398

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抄録

2000年9月から12月までの問に, 全国10施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。尿路感染症患者から分離され, 起炎菌と推定された588株のうち, MICが測定できた株は輸送中に死滅した菌などを除く511株であり, その内訳はグラム陽性菌が29.0%, グラム陰性菌が71.0%であった。
これらの菌に対する抗菌薬の効果をみるとEnterococcus faecalisに対してはVancomycin (VCM), Ampicillin (ABPC), Imipenem (IPM) の抗菌力が強く, これらの薬剤に対して低感受性株が増加するような傾向は認められなかった。VCMはMRSAに対しても, 強い抗菌力を示し1μg/mlで全菌株の発育を阻止した。またArbekacin (ABK) の抗菌力も強くMIC90は2μg/mlで, 4μg/mlでは, 全ての菌株の発育を阻止した。ABKは, Staphylococcusepidermi に対しても強力な抗菌力を示し, 0.5μg/mlで全菌株の発育を阻止した。S. epidermidisに対してはABPC, Cefbtiam (CTM) およびCefozopran (CZOP) も比較的良好な抗菌力 (MIC90: 4~8μg/ml) を示した。Escherichia coliに対してはカルバペネム系薬剤の抗菌力が強く, Meropenem (MEPM) は≤0.125μg/ml, IPMは0.25μg/mlで, それぞれ全菌株の発育を阻止した。
また, CZOPのMIC90は≤0.125μg/ml, CTMのMIC80は0.25μg/ml, MIC90は0.5μg/mlと強い抗菌力を示した。
キノロン耐性のE. coliは14.0%検出され, 前年に比べ著明に増加した。Klebsiella pneumoniaeとProteus mirabilisに対しては一部の薬剤を除き全般的に抗菌力は強く, MEPMは≤0.125μg/mlで全菌株の発育を阻止した。Pseudomonas aenuginosaに対しては全般的に抗菌力は弱く, カルバペネム系薬剤およびGentamicin (GM) のMIC90が16μg/ml, その他の薬剤のMIC90は全て32μg/ml以上であった。Serratia marcescensに対するMIC90も, IPMおよびGMが2μg/mlと最も低く, ついでMEPMが4μg/mlであった。

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