The Japanese Journal of Antibiotics
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新規注射用ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin mesilateの細菌学的検討
野村 伸彦満山 順一古田 要介山田 尚中田 光人福田 淑子山田 博司高畑 正裕南 新三郎
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2002 年 55 巻 4 号 p. 412-439

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抄録

新規注射用ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacinmesilate (PZFX注射薬) のinvitro及びin vivo.抗菌活性を検討し以下の結果を得た。
1.PZFX注射薬の活性本体であるPZFXの各種グラム陽性及びグラム陰性臨床分離株に対するMIC50及びMIC90はそれぞれ0.0125~125μg/ml及び0.025~100μg/mlであり, PZFは幅広い菌種に対して良好な抗菌活性を示した。特に, ニューキノロン薬感受性のmethicillin耐性Staphylococcus aureus, β-lactamase-negative ampicillin耐性Haemophilus influenzae, extended spectrum β-lactamase産生Klebsiella pneumoniae及びimlpenem/cilastatin (IPM/CS) 耐性Pseudomonas aeruginosaに対してはceftazidime (CAZ), ceftriaxone, IPM/CS, meropenem及びpanipenem/betamipronより強い抗菌活性を示した。
2.臨床用量投与後の血中において15分間持続する濃度で各薬剤を15分間作用させた場合, PZFXはS. aureus, Escherichia coli, Proteus mirabilis, Serratia marcescens及びP. aeruginosaに対してCAZ及びIPM/CSより強い殺菌効果を, また, E. coli, P. mirabilis, S. marcescens及びP. aeruginosaに対してCAZ及びIPM/CSより長いpost antibiotic effect を示した。
3.ヒト好中球に取り込ませたP. aeruginosaに対して, CAZ及びIPM/CSは16MICにおいても殺菌効果を示さなかったが, PZFXは濃度依存的な殺菌効果を示した。
4.S. aureus由来トポイソメラーゼIV及びDNAジャイレースに対して, PZFXは近似した濃度で阻害活性を示した。また, ヒト由来トポイソメラーゼIIに対する阻害活性は弱く, 細菌由来トポイソメラーゼに良好な選択性が認められた。
5.S. aureus及びP. aeruginosaによる免疫低下, 高接種菌量及び混合感染下でのマウス全身感染モデル並びにラットカルボキシメチルセルロースポーチモデル及びラット膀胱結石定着モデルにおいて, PZFX注射薬はCAZより優れた治療効果を示した。
6.PZFX注射薬のラット腹腔内感染モデルにおける治療効果を, 経口, 皮下及び静脈内投与群で比較した結果, 投与初期に高い血中濃度を示す静脈内投与群において, 最も優れた治療効果が認められた。

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