The Japanese Journal of Antibiotics
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TEICとCMZの併用が著効した心臓大血管術後のMRSA感染症の2例
大塚 喜人島村 由起男吉部 貴子江崎 孝行
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2003 年 56 巻 1 号 p. 55-60

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抄録

心臓大血管術後にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) による創部感染と縦隔炎を起こした2症例に対して, teicoplanin (TEIC) とcefmetazole (CMZ) の併用療法を試みたところ, いずれの症例にも著効を示した。これらの併用療法はCMZ (1.0g×2/日) を点滴で先行投与し, 投与終了直後にTEICの投与 (初日400mg×2/日, 2日以降400mg/日) を開始した。2症例から分離したMRSAに対して, TEICとCMZのin vitro併用効果をチェッカーボード法で検討した結果, いずれの株も相乗効果が認められた。
この優れた臨床効果はTEICとCMZの併用による抗菌力の増強が臨床効果に反映されたものと推定された。従って, 今回の経験から, 難治性MRSA感染症に対して, TEICとCMZの併用療法は推奨される治療方法の一つと考えられた。

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