2003 年 56 巻 1 号 p. 61-65
造血器悪性腫瘍患者の真菌感染症予防を目的としてイトラコナゾール (ITCZ) 投与を行い, その予防的効果について有効性と安全性について検討した。対象は平成13年4月から平成14年3月までの期間に北海道大学医学部附属病院に入院した造血器悪性腫瘍患者12例。そのうち100mg/日投与群が6人, 200mg/日投与群が6人であった。投与方法は化学療法を受ける患者に対しては化学療法開始時から, 骨髄移植時は経口投与可能になった日から投与した。また, 投与終了時期については, 臨床所見及び真菌検査等から主治医が判断するものとした。結果は100mg/日投与群では3例において真菌症発症が認められたが, 200mg/日投与群では認められず, 副作用も1例に掻痒感が認められたのみで極めて安全に投与され, イトラコナゾールの有用性が示された。