The Japanese Journal of Antibiotics
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尿路感染症分離菌に対する経口並びに注射用抗菌薬の抗菌力比較 (第23報2001年)
その1. 感受性について
熊本 悦明塚本 泰司松川 雅則国島 康晴広瀬 崇興茂田 士郎山口 脩荻原 雅彦石橋 啓高橋 和郎吉田 浩今福 裕司村井 勝渡辺 清明小林 芳夫内田 博松田 静治佐藤 新一藤目 真藤田 和彦猪狩 淳小栗 豊子山口 恵三古谷 信彦樫谷 総子大江 宏西川 美年子岡 聖次北村 雅哉松岡 庸洋福原 吉典公文 裕巳門田 晃一河野 茂朝野 和典宮崎 義継平潟 洋一青木 志保
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2003 年 56 巻 5 号 p. 396-423

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抄録

2001年9月から12月までの間に, 全国10施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。尿路感染症患者から分離され, 起炎菌と推定された496株におけるMICを測定した。その内訳はグラム陽性菌が29.6%, グラム陰性菌が70.4%であった。
これらの菌に対する抗菌薬の効果をみると, Staphylococcus aureusに対してはVancomycin (VCM) の抗菌力が最も強く, VCMはMRSAに対しても, 強い抗菌力を示し1μg/mLで全菌株の発育を阻止した。またArbekacin (ABK) の抗菌力も強くMIC90は2μg/mLで, 4μg/mLでは全ての菌株の発育を阻止した。ABKはStaphylococcus epidermidisに対しても強力な抗菌力を示し, そのMIC90は0.5μg/mLであった。S. epidermidisに対してはAmpicillin (ABPC) およびCefbzopran (CZOP) も比較的良好な抗菌力 (MIC90: 8μg/mL) を示した。Enterococcus faecalisに対してはABPC, Imipenem (IPM), VCMの抗菌力が強く, これらの薬剤に対して低感受性株が増加するような傾向は認められなかった。Escherichia coliに対してはカルバペネム系薬剤の抗菌力が最も強く, Meropenem (MEPM) は0.25μg/mL, IPMは0.5μg/mLで, それぞれ全菌株の発育を阻止した。CZOPおよびCefbtiam (CTM) も強い抗菌力を示し, CZOPのMIC90は≤0.125μg/mL, CTMのMIC90は0.5μg/mLであった。キノロン耐性のE. coliは9.3%検出され, 前年の14%に比べ減少したが, 1999年までの検出率よりも高値であった。Citrobacter freundiiに対してはMEPMが最も強く, ≤0.125μg/mLで全菌株の発育を阻止した。Klebsiella pneumoniaeProteus mirabilおに対しては一部の薬剤を除き全般的に抗菌力は強く, MEPMは≤0.125μg/mLで全菌株の発育を阻止した。Serratia marcescensに対するMIC90はGentamicin (GM) が2μg/mLと最も低く, IPMが8μg/mL, ついでCarumonam (CRMN) が16μg/mLであった。Pseudomonas aeruginosaに対しては全般的に抗菌力は弱く, GMのMIC90が8μg/mL, IPMおよびAMKが16μg/mL, その他の薬剤のMIC90は全て32μg/mL以上であった。

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