The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
造血器疾患に合併した発熱性好中球減少症に対するBiapenemの臨床的検討
酒井 広隆真田 昌島本 健至東 礼美原田 浩史森 啓新倉 春男小峰 光博
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 60 巻 2 号 p. 125-131

詳細
抄録

我々は, Biapenem (BIPM) を造血器疾患に合併した発熱性好中球減少症 (FN) に投与し, 臨床的効果を検討した。投与方法は, BIPM600mgまたは1200mg/日を2回に分け, 単剤またはアミノ配糖体との併用にて点滴静注した。対象は, 好中球数が1000/μl以下, 37.5℃以上の発熱が出現した造血器疾患であり, 総数33例, 年齢33歳-80歳, 中央値70歳, 男性15例, 女性18例, 基礎疾患の内訳は急性骨髄性白血病10例, 急性リンパ性白血病1例, 悪性リンパ腫14例, 骨髄異形成症候群1例, 再生不良性貧血1例であった。このうち3例 (9.1%) で投与前の血液培養から菌が検出され, 臨床効果は, 著効9例, 有効11例, やや有効0例, 無効7例で奏効例 (著効例+有効例) は20例 (00.0%) であり, 奏効率に関する因子は, 顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 併用, 好中球数500/μl以下の期間, 投与開始から3日目の好中球数であった。副作用は発疹1例, 臨床検査値異常は7例に認めたが, 臨床上問題となるものはなかった。以上のことから, BIPMは造血器疾患に合併したFNの治療において有用かつ安全な抗菌薬であり, 高い治療効果が期待できる薬剤であると考えられた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top