The Japanese Journal of Antibiotics
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種々の方法で測定した2003年-2004年の臨床分離株のホスホマイシンに対する感受性成績の比較
村松 英彰石川 仁子名倉 理教堀井 俊伸
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2007 年 60 巻 2 号 p. 107-124

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抄録

臨床分離株6菌種Escherichia coli, Klebsiella spp., Serratia marcescens, Citrobacter spp., Enterobacter spp., Proteus mirabilis の fosfomycin (FOM), cephalexin, cefpodoxime, cefdinir, cefditren, ampicillin, sulbactam/ampicillin, imipenem (IPM), panipenem, meropenem (MEPM), biapenem, levofloxacin (LVFX), gatifloxacin, pazufloxacin, prulifloxacin, sulfamethoxazole/trimethoprimに対する感受性をMueller-Hintonagar (MHA) を用いて寒天平板希釈法で測定した。FOMに対する感受性は, glucose-6-phosphate (G6P) を添加した培地を用いて好気培養条件下で測定した。さらに, FOMに対する感受性は異なる培養条件下で寒天平板希釈法により測定した。これらの抗菌薬のうちFOM, LVFX, IPM, MEPMの4薬剤についてはEtest法でも抗菌活性を測定した。
寒天平板希釈法でそれぞれの菌種の各種抗菌薬のMIC分布を調べたところ, いずれの菌種においてもカルバペネム系薬に対して高い感受性を示した。また, カルバペネム系薬以外の抗菌薬では, 耐性株を含め幅広いMIC分布を示した。
寒天平板希釈法によるFOMの感受性試験において, E. coliでは, MHAにG6Pを添加した培地を用いて好気培養条件下で測定することにより, 得られるMIC値が感受性側にシフトした。この結果は, これまでに報告されている傾向と比較して, 変りがないことが示された。
寒天平板希釈法とEtest法によるLVFX, IPM, MEPMに対する感受性一致率は, いずれの菌種においても総じて高い結果が得られた。FOMにおいて, 好気培養条件下でのMHA, 嫌気培養条件下でのMHA, 好気培養条件下でのG6Pを添加したMHA, 好気培養条件下でのNutrient agarをそれぞれ用いた寒天平板希釈法での感受性とEtest法による感受性との一致率は, 菌種や培養条件により異なる結果が得られた。E. coliにおいては, MHAにG6Pを添加した培地を用いて好気培養条件下で測定したMIC値とEtest法によるMIC値は, 高い一致率が得られた。

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