The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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60 巻, 2 号
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  • 2005年度分離菌を中心に
    品川 長夫, 水野 勇, 平田 公一, 桂巻 正, 水口 徹, 牛島 康栄, 牛田 知宏, 相川 直樹, 葉 季久雄, 高山 忠利, 佐藤 ...
    2007 年 60 巻 2 号 p. 59-97
    発行日: 2007/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から外科感染症分離菌に関する多施設共同研究を行ってきたが, ここでは2005年度 (2005年4月-2006年3月) の成績を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は229例であり, このうちの161例 (70.3%) から366株の細菌と18株の真菌が分離された。一次感染症から195株, 術後感染症から171株の細菌が分離された。一次感染症では, 好気性グラム陰性菌の分離頻度が最も高く, 次いで好気性グラム陽性菌であり, 術後感染症では, 逆に好気性グラム陽性菌の分離頻度が最も高く, 次いで好気性グラム陰性菌であった。好気性グラム陽性菌については, 一次感染症, 術後感染症共にEnterococcus faecalisEnterococcus faeciumなどのEnterococcus spp.やStaphylococcus aureusなどのStaphylococcus spp.の分離頻度が高かった。嫌気性グラム陽性菌では, 一次感染症で, Streptococcus constellatus, 術後感染症でEggerthella lentaの分離頻度が高かった。好気性グラム陰性菌では, 一次感染症からEscherichia coliの分離頻度が最も高く, 次いでPseudomonas aeruginosa, Klebsiella spp.などであり, 術後感染症からはE. coli, Enterobacter cloacae, P. aeraginosaの分離頻度が高かった。嫌気性グラム陰性菌では, 一次感染症, 術後感染症共にBacteroides fragilisの分離頻度が最も高かった。年次的変動では, 一次感染症で好気性グラム陰性・陽性菌の分離頻度が増加し術後感染症で好気性グラム陽性菌が増加し, 逆に嫌気性菌グラム陽性・陰性菌が減少した。グリコペプチド系薬耐性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) やEnterococcus spp.および多剤耐性緑膿菌は認められなかった。前年度に続きCefazolin (CEZ) 高度耐性E. coliが5%に認められた。ペニシリン系薬やセフェム系薬に耐性のB. fragilis groupは多かったが, 前年度増加したBilophila wadsworthiaの増加傾向は認められなかった。
  • 小林 寅喆, 松崎 薫, 大美賀 薫, 長谷川 美幸, 佐藤 弓枝
    2007 年 60 巻 2 号 p. 98-106
    発行日: 2007/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2005年1月から10月の期間に, 関東周辺の一次医療機関において呼吸器感染症患者から分離した新鮮臨床株 (Streptococcus pneumoniae 300株, Streptococcus pyogenes 100株, Moraxella catarrhalis 100株, Haemophilus influenzae 200株, Klebsiella pneumoniae 100株およびPseudomonas aeruginosa 100株, 合計900株) のfluoroquinolone系抗菌薬tosufloxacin (TFLX), gatifloxacin (GFLX), levofloxacin, moxifloxacin (MFLX), ciprofloxacin (CPFX) およびprulifloxacin (PUFX) に対する感受性を検討した。
    TFLX, GFLXおよびMFLXはpenicillin. resistant S. pneumoniaeを含むStreptococcus属に対し高い抗菌活性を示し, MIC90は0.12-0.5μg/mLであった。M.catarrhalisおよびH. influenzaeに対してfluoroquinolone系抗菌薬はきわめて強い抗菌力を有し, いずれの抗菌薬のMIC90も≤0.06μg/mLであった。K. pneumoniaeおよびP. aeraginosaには検討薬に耐性を示す株が認められたが, TFLXはCPFXおよびPUFXとともに優れた抗菌力を示した。
    以上の結果から, TFLXは1990年に上市された後, 15年以上を経過した時点においても強い抗菌活性を有しており, 依然として呼吸器感染症領域で有用性の高い薬剤と考えられた。
  • 村松 英彰, 石川 仁子, 名倉 理教, 堀井 俊伸
    2007 年 60 巻 2 号 p. 107-124
    発行日: 2007/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床分離株6菌種Escherichia coli, Klebsiella spp., Serratia marcescens, Citrobacter spp., Enterobacter spp., Proteus mirabilis の fosfomycin (FOM), cephalexin, cefpodoxime, cefdinir, cefditren, ampicillin, sulbactam/ampicillin, imipenem (IPM), panipenem, meropenem (MEPM), biapenem, levofloxacin (LVFX), gatifloxacin, pazufloxacin, prulifloxacin, sulfamethoxazole/trimethoprimに対する感受性をMueller-Hintonagar (MHA) を用いて寒天平板希釈法で測定した。FOMに対する感受性は, glucose-6-phosphate (G6P) を添加した培地を用いて好気培養条件下で測定した。さらに, FOMに対する感受性は異なる培養条件下で寒天平板希釈法により測定した。これらの抗菌薬のうちFOM, LVFX, IPM, MEPMの4薬剤についてはEtest法でも抗菌活性を測定した。
    寒天平板希釈法でそれぞれの菌種の各種抗菌薬のMIC分布を調べたところ, いずれの菌種においてもカルバペネム系薬に対して高い感受性を示した。また, カルバペネム系薬以外の抗菌薬では, 耐性株を含め幅広いMIC分布を示した。
    寒天平板希釈法によるFOMの感受性試験において, E. coliでは, MHAにG6Pを添加した培地を用いて好気培養条件下で測定することにより, 得られるMIC値が感受性側にシフトした。この結果は, これまでに報告されている傾向と比較して, 変りがないことが示された。
    寒天平板希釈法とEtest法によるLVFX, IPM, MEPMに対する感受性一致率は, いずれの菌種においても総じて高い結果が得られた。FOMにおいて, 好気培養条件下でのMHA, 嫌気培養条件下でのMHA, 好気培養条件下でのG6Pを添加したMHA, 好気培養条件下でのNutrient agarをそれぞれ用いた寒天平板希釈法での感受性とEtest法による感受性との一致率は, 菌種や培養条件により異なる結果が得られた。E. coliにおいては, MHAにG6Pを添加した培地を用いて好気培養条件下で測定したMIC値とEtest法によるMIC値は, 高い一致率が得られた。
  • 酒井 広隆, 真田 昌, 島本 健至, 東 礼美, 原田 浩史, 森 啓, 新倉 春男, 小峰 光博
    2007 年 60 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 2007/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は, Biapenem (BIPM) を造血器疾患に合併した発熱性好中球減少症 (FN) に投与し, 臨床的効果を検討した。投与方法は, BIPM600mgまたは1200mg/日を2回に分け, 単剤またはアミノ配糖体との併用にて点滴静注した。対象は, 好中球数が1000/μl以下, 37.5℃以上の発熱が出現した造血器疾患であり, 総数33例, 年齢33歳-80歳, 中央値70歳, 男性15例, 女性18例, 基礎疾患の内訳は急性骨髄性白血病10例, 急性リンパ性白血病1例, 悪性リンパ腫14例, 骨髄異形成症候群1例, 再生不良性貧血1例であった。このうち3例 (9.1%) で投与前の血液培養から菌が検出され, 臨床効果は, 著効9例, 有効11例, やや有効0例, 無効7例で奏効例 (著効例+有効例) は20例 (00.0%) であり, 奏効率に関する因子は, 顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 併用, 好中球数500/μl以下の期間, 投与開始から3日目の好中球数であった。副作用は発疹1例, 臨床検査値異常は7例に認めたが, 臨床上問題となるものはなかった。以上のことから, BIPMは造血器疾患に合併したFNの治療において有用かつ安全な抗菌薬であり, 高い治療効果が期待できる薬剤であると考えられた。
  • 2007 年 60 巻 2 号 p. 132-139
    発行日: 2007/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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