The Japanese Journal of Antibiotics
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Monte Carlo Simulation法を用いた嫌気性菌感染症に対するフルオロキノロン系薬の有用性予測
三鴨 廣繁田中 香お里渡邉 邦友
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2007 年 60 巻 6 号 p. 335-343

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抄録

抗菌薬による各種感染症の治療効果の予測に, PK (pharmacokinetics)-PD (pharmacodynamics) 理論を考慮したシミュレーションが数多く実施されているが, 嫌気性菌が原因菌と想定した場合の検討は少ない。フルオロキノロン薬は, 嫌気性菌に対する抗菌力が弱いとされているが, gatifioxacin (GFLX), moxifloxacin (MFLX), garenoxacin (GRNX) などは, Anti-anaerobicquinolonesでもあると考えられている。そこで各種嫌気性菌に対するGFLX, MFLX, levofloxacinの有効性予測をMonte Carlo Simulation法を用いて, AUC/MICのターゲット値として40および125の達成確率を検討した。その結果, GFLX, MFLXは, 特に呼吸器感染症の原因菌であることの多い嫌気性菌Prevotella intermedia, Fusobacterium nucleatum, Micromonas microsに対する有効性が期待できると考えられた。今回の結果から, GFLX, MFLXは嫌気性菌感染症の治療にも有効な薬剤であると考えられる。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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