The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2006年臨床分離株の感受性サーベイランス
メロペン特別調査 (全国感受性調査) 研究会
山口 惠三石井 良和岩田 守弘渡邉 直樹上原 信之保嶋 実葛西 猛諏訪部 章山端 久美子賀来 満夫金光 敬二今福 裕司西山 恭子村上 正巳四方田 幸恵谷口 信行山田 俊幸野村 文夫渡邊 正治菅野 治重相原 雅典前崎 繁文橋北 義一近藤 成美三澤 成毅堀内 啓田澤 庸子中島 秀喜竹村 弘岡田 正彦山崎 房子堀井 俊伸前川 真人馬場 尚志石郷 潮美藤田 直久小森 敏明一山 智飯沼 由嗣前田 重隆山中 喜代治村田 葉子松尾 収二河野 久木下 承晧藤田 準根ケ山 清村瀬 光春宮本 仁志草野 展周三原 栄一郎板羽 秀之小野 順子吉村 尚江柳原 克紀松田 淳一犀川 哲典平松 和史
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 60 巻 6 号 p. 344-377

詳細
抄録

Meropenem (MEPM) をはじめとするカルバペネム系薬を中心に, 全国の医療機関30施設より収集した2006年の臨床分離株2838株 (グラム陽性菌876株, グラム陰性菌1764株, 嫌気性菌198株) に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 以下の結果を得た。
1.MEPMのMIC90は, 腸内細菌科, Haemophilus influenzaeにおいて他のカルバペネム系薬に比較して殆どが2-5管低値であり, 特にグラム陰性菌全般に対し良好な抗菌力を示した。また, グラム陽性菌・嫌気性菌に対しても, MEPMは, methicillin-resistantStaphylococcus aureus等の一部の多剤耐性株を除く殆ど全ての臨床分離株に良好な抗菌力を示した。
2.Pseudomonas aeruginosaにおけるMEPM耐性株に対してimipenem (IPM) は全株耐性を示したのに対し, IPM耐性株に対するMEPMの交差耐性率は41.8%であった。また, ciprofloxacin (CPFX) 耐性株に対するMEPMの交差耐性率も33.3%と低値であった。
3.基質拡張型β-ラクタマーゼ (ESBL) 産生株が, Escherichia coliで6株 (4.3%), Citrobacter freundiiで1株 (1.1%), Citrobacter koseriで5株 (21.7%), Klebsiella pneumoniaeで4株 (3.1%), Enterobacter cloacaeで3株 (3.3%), Serratia marcescensで1株 (0.8%), Providencia spp.で2株 (4.9%) 認められた。また, メタロ-β-ラクタマーゼ産生株は, P.aeruginosaで10株 (3.1%) 認められた。
4.過去の成績に比較して, MEPMのMIC90が2管以上上昇した菌種は認められず, MEPMに対する感受性に顕著な耐性化を認めなかった。
以上より, MEPMは上市後11年以上を経過した時点においても, 広域かつ強力な抗菌力を維持しており, 依然として臨床的に有用性の高いカルバペネム系薬であるとの結論を得た。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top