The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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60 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 河野 茂, 小川 賢二, 倉島 篤行, 二木 芳人, 前崎 繁文
    2007 年 60 巻 6 号 p. 321-334
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 三鴨 廣繁, 田中 香お里, 渡邉 邦友
    2007 年 60 巻 6 号 p. 335-343
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗菌薬による各種感染症の治療効果の予測に, PK (pharmacokinetics)-PD (pharmacodynamics) 理論を考慮したシミュレーションが数多く実施されているが, 嫌気性菌が原因菌と想定した場合の検討は少ない。フルオロキノロン薬は, 嫌気性菌に対する抗菌力が弱いとされているが, gatifioxacin (GFLX), moxifloxacin (MFLX), garenoxacin (GRNX) などは, Anti-anaerobicquinolonesでもあると考えられている。そこで各種嫌気性菌に対するGFLX, MFLX, levofloxacinの有効性予測をMonte Carlo Simulation法を用いて, AUC/MICのターゲット値として40および125の達成確率を検討した。その結果, GFLX, MFLXは, 特に呼吸器感染症の原因菌であることの多い嫌気性菌Prevotella intermedia, Fusobacterium nucleatum, Micromonas microsに対する有効性が期待できると考えられた。今回の結果から, GFLX, MFLXは嫌気性菌感染症の治療にも有効な薬剤であると考えられる。
  • メロペン特別調査 (全国感受性調査) 研究会
    山口 惠三, 石井 良和, 岩田 守弘, 渡邉 直樹, 上原 信之, 保嶋 実, 葛西 猛, 諏訪部 章, 山端 久美子, 賀来 満夫, 金 ...
    2007 年 60 巻 6 号 p. 344-377
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Meropenem (MEPM) をはじめとするカルバペネム系薬を中心に, 全国の医療機関30施設より収集した2006年の臨床分離株2838株 (グラム陽性菌876株, グラム陰性菌1764株, 嫌気性菌198株) に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 以下の結果を得た。
    1.MEPMのMIC90は, 腸内細菌科, Haemophilus influenzaeにおいて他のカルバペネム系薬に比較して殆どが2-5管低値であり, 特にグラム陰性菌全般に対し良好な抗菌力を示した。また, グラム陽性菌・嫌気性菌に対しても, MEPMは, methicillin-resistantStaphylococcus aureus等の一部の多剤耐性株を除く殆ど全ての臨床分離株に良好な抗菌力を示した。
    2.Pseudomonas aeruginosaにおけるMEPM耐性株に対してimipenem (IPM) は全株耐性を示したのに対し, IPM耐性株に対するMEPMの交差耐性率は41.8%であった。また, ciprofloxacin (CPFX) 耐性株に対するMEPMの交差耐性率も33.3%と低値であった。
    3.基質拡張型β-ラクタマーゼ (ESBL) 産生株が, Escherichia coliで6株 (4.3%), Citrobacter freundiiで1株 (1.1%), Citrobacter koseriで5株 (21.7%), Klebsiella pneumoniaeで4株 (3.1%), Enterobacter cloacaeで3株 (3.3%), Serratia marcescensで1株 (0.8%), Providencia spp.で2株 (4.9%) 認められた。また, メタロ-β-ラクタマーゼ産生株は, P.aeruginosaで10株 (3.1%) 認められた。
    4.過去の成績に比較して, MEPMのMIC90が2管以上上昇した菌種は認められず, MEPMに対する感受性に顕著な耐性化を認めなかった。
    以上より, MEPMは上市後11年以上を経過した時点においても, 広域かつ強力な抗菌力を維持しており, 依然として臨床的に有用性の高いカルバペネム系薬であるとの結論を得た。
  • 小林 芳夫, 墨谷 祐子, 杉田 香代子, 上遠野 保裕
    2007 年 60 巻 6 号 p. 378-386
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2006年1-11月に慶應義塾大学医学部中央臨床検査部にて血液培養検体から分離・同定した180株を対象として, meropenem (MEPM) の抗菌力を対照薬剤とともに測定した。更に, 今回の成績を同様に調査した過去の成績と比較検討することにより, 以下の結果を得た。
    1.MEPMは, doripenemを含むカルバペネム系薬の中でも, 特にグラム陰性菌に対して優れた抗菌活性を示した。Pseudomonas aeruginosaにおいて耐性株 (MIC≥16μg/ml) が1株認められたが, 本株はメタロβ-ラクタマーゼ産生の多剤耐性P.aeruginosaであった。
    2.1997-1998年, 1999年, 2002-2003年および2004年に分離された血液由来菌での成績と比較して, 2006年分離株では, MEPM耐性株の顕著な増加は認められなかった。現時点においてMEPMは依然として臨床的に有用性の高いカルバペネム系薬であるとの結論を得た。
  • 三鴨 廣繁
    2007 年 60 巻 6 号 p. 387-393
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    モンテカルロ・シミュレーション法を用いて, 注射用セフェム系抗菌薬セフタジジムの緑膿菌感染症に対する最適な投与方法について検討した。モンテカルロ・シミュレーションに必要な薬物動態パラメータとして, 健常成人データ, MIC分布は, 岐阜耐性菌フォーラムワーキンググループの2004年臨床分離株のデータを利用した。セフェム系薬における最大殺菌作用の目標値である60-70%T>MIC (Time above MIC) の達成確率は, 現在の成人に対する用法・用量の1日最大用量4gの範囲内では1000mg静注×3回/dayが最も高く, 以下2000mg静注×2回/day, 1000mg静注×2回/dayの順であった。T>MICをPK/PDパラメータとするセフタジジムは, 投与回数を増やすことが効果を増強する上での有効な手段であり, 添付文書の範囲内における投与方法で緑膿菌感染症を治療する場合, 1000mg×3回/dayが最適な用法・用量であると考えられた。
  • 墨谷 祐子, 小林 芳夫
    2007 年 60 巻 6 号 p. 394-403
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カルバペネム系抗菌薬はβ-ラクタム系抗菌薬の中で最もブロードスペクトルかつ強い抗菌力を持ち重症感染症のエンピリックセラピーに用いられることが多く, PK/PD解析による投与法についての研究は耐性菌出現予防の観点からも重要であると考えられる。そこで2004年, 2006年に慶応義塾大学病院において入院患者血液より分離されたPseudomonas aeruginosa に対するmeropenem (MEPM), biapenem (BIPM) およびdoripenem (DRPM) のMIC分布を使い, PK/PD理論に基づいて, それぞれの薬剤の本邦における1日最大投与量内での効果的な投与法について検討を行った。
    2004年に慶応義塾大学病院の患者血液より分離されたP.aeruginosaに対するMIC分布をもとにtime above the MIC (%T>MIC) に対する予測達成率を求めた結果, CRAIGらにより提唱されているカルバペネム系抗菌薬で殺菌的効果が期待できるとされるターゲット40%T≥MICに対して最も予測達成率が高くなったのは30分点滴 (traditional infusion: TI) においては, MEPMでは500mg1日4回投与で90.89%, BIPMでは300mg1日4回投与で83.25%, DRPMでは250mg1日4回投与で81.73%であった。3時間点滴 (prolonged infusion: PI) においてはMEPMでは500mg1日4回投与で100%, BIPMでは300mg1日3回投与で83.97%, DRPMでは250mg1日3回投与で99.98%であった。
    2006年に慶応義塾大学病院の患者血液より分離されたP. aeruginosa に対するMIC分布をもとに予測達成率を求めターゲットを40%T≥MICとした場合, 最も予測達成率が高くなったのはTIにおいては, MEPMで500mg1日4回投与で80.57%, BIPMでは300mg1日4回投与で56.70%, DRPMでは500mg1日4回投与で69.44%であった。PIにおいてはMEPMで500mg1日4回投与で89.35%, BIPMでは300mg1日4回投与で60.84%, DRPMでは500mg1日3回投与で82.78%であった。また, 持続点滴については2004年, 2006年いずれの分布を用いた場合もMEPM, BIPM, DRPMすべてにおいてターゲットCss/MIC≥1に対する予測達成率は3時間点滴分割投与とした場合の40%T≥MICに対する予測達成率を下回る結果となり, 3剤において最も有効な投与方法はいずれも3時間点滴による分割投与であると考えられた。
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