抄録
7-8ケ月人胎児の睾丸及び副睾丸の神経分布に関する研究成績は次の様に要約される. 睾丸及び副睾丸に於ても植物神経線維の発達は甚だ良好で, 其終末は何れも Stöhr 氏終網で表わされ, 之は各組織細胞に対し接触的主宰関係を示す.
精系神経叢は専ら副睾丸頭及び睾丸に入る. この神経叢の中には少量の知覚線維も含まれていて, その多くは睾丸網に進むが, 1部は副睾丸頭の中に入る.
睾丸網では知覚線維は成人に於けると同様に, 睾丸網の周囲又は網間結合織内に非分岐性及び単純性分岐性終末を形成して終る. その終末枝は屡々太さの変化を示し, その先端は専ら上皮下に尖鋭状に終るが, 又屡々更に睾丸網の1列性上皮内に入って上皮内線維に移行するものもある. その他睾丸では睾丸白膜内に進んで専ら非分岐性終末に移行する知覚線維も稀乍ら認められる.
副睾丸頭に来る知覚線維の多くは輸出小管の間質結合織内に睾丸網に於けると同様, 非分岐性及び単純性分岐性終末を形成して終る. 然しここでは上皮内線維に移行する終末枝は殆んど見られない. 又睾丸鞘膜内板に進み, 専ら上皮下に非分岐性及び単純性分岐性終末に移行する知覚線維も稀ならず発見される.
以上睾丸網及び輸出小管内に見られる知覚終末は生殖腺の分泌物の蓄積感を感受する外, 性欲にも密接な関係を示すものであり, 睾丸鞘膜内板内の知覚終末は外圧を鋭敏に感受せしめるものと考えられる.