抄録
1. イヌとカイウサギの膵臓のパラフィン切片を, Davenport 法の変法によって鍍銀染色したところ, 膵島細胞の約5%が選択的に黒く染まった.
2. この鍍銀標本を漂白し, Masson-Goldner 法で再染色することによって, 好銀細胞はライトグリーンをとるD細胞にほかならぬことが明らかになった. この結論は, 著者が先ごろギンザメ (全頭類) を用いて得た結果に合致するが, 好銀細胞はA細胞であるとする Ferner らの見解とも, A細胞の一部であるとする Volk, Hellman らの説とも異なるものである.
3. 膵島細胞のうち, D細胞に限って著明な好銀性を示すという本研究の所見は, 従来その検出が容易でなかったD細胞の研究に, 鍍銀法が有効に用いられることを示している.