1984 年 33 巻 2 号 p. 88-94
フミン酸溶液の界面張力及び導伝率を測定し, その結果, 会合体の生成が示唆された。会合が始まる濃度は他の方法で決定した濃度と良く一致した。
金属カチオンのフミン酸溶液の導伝率, 粘度, 界面張力, 電位差滴定への影響も調べた。添加した金属カチオンは海洋フミン酸と錯体を形成する。金属イオンの錯形成能の順序は次の通りである。
Na+, K+<Mg2+<Ca2+<Ba2+<Cu2+
金属イオンは主としてフミン酸のカルボキシル基と結合するものと思われる。溶液的性質に及ぼすカチオンの影響については, 海洋フミン酸と市販のAldrichフミン酸の間には本質的な差は観察されなかった。
分子量分画した海洋フミン酸試料を用いて, 溶液的性質に対する分子の大きさの影響について調べた。より小さい分子はより低いフミン化度と, より高い酸度を示すことが確かめられた。