1974 年 36 巻 5 号 p. 379-389
成熟分泌顆粒を水解小体から区別するために, マウス, ラット, イヌ, イモリの上皮小体の酸フォスファターゼ活性を電子顕微鏡で観察した.
実質細胞には反応陽性と反応陰性の顆粒が共に存在した. 反応陰性顆粒の多くは, 膜に限界された中等電子密度より高電子密度までの, 微粒子状構造をもった均一性顆粒であった. このような顆粒はゴルジ野のいわゆる分泌前顆粒と微細構造が類似し, 成熟分泌顆粒と結論された. 他の反応陰性顆粒は, 微粒子状内容物をもった空胞といわゆる多胞体とを含めて, 分泌顆粒に由来することが考えられた.
これらの成熟分泌顆粒の最大値は動物の種類によって異なり, マウス, ラット, イモリは0.7μ, イヌは0.5μであった.
イモリでは分泌顆粒とくに細管を含む顆粒の水解小体への漸次の変形が証明された.