Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ジュウシマツ前胃粘膜の神経-内分泌複合体に関する電子顕微鏡的研究
片岡 勝子
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1974 年 36 巻 5 号 p. 391-400

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抄録

ジュウシマツの前胃粘膜は少なくとも2種の内分泌細胞-大型の丸い分泌顆粒をもつI型細胞と, 小型でさまざまの電子密度の分泌顆粒や空胞状の顆粒をもつII型細胞-が存在する. これら内分泌細胞の大部分は, 上皮下の粘膜固有層で神経-内分泌複合体の形成にあずかっているが, 少数の細胞は哺乳動物の閉鎖型内分泌細胞と同様に上皮内に存在する.
神経-内分泌複合体は, 内分泌細胞, 神経終末, 無髄神経線維, シュワン細胞より成り, その外側を基底膜が取り囲んでいる. 神経終末の大部分は明るいシナプス小胞と大きい含粒小胞をもち, コリン作働性と考えられ, I型およびII型内分泌細胞との間にシナプス結合が認められる. 少数の神経終末は小さい有芯小胞と大きい含粒小胞をもち, アドレナリン作働性と考えられ, I型細胞との間にシナプス結合が観察された. これらの所見はジュウシマツ前胃粘膜の内分泌機能が神経によって支配されていることを示す.
また, 内分泌細胞の特異な上皮下の存在形式や神経系との緊密な関係を, 膵島と比較して論じた.

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© 国際組織細胞学会
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