Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
マウス有郭乳頭味蕾の神経支配に関する電子顕微鏡的研究
武田 正子
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1976 年 39 巻 4 号 p. 257-269

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抄録

マウス有郭乳頭味蕾の神経支配について, アドレナリン作働性神経支配をも含めて 電子顕微鏡により検索した.
高電子密度のシナプス膜と シナプス小胞の集積とを伴う 典型的な求心性シナプス接合が, 第3型細胞と神経終末との間に認められる. 第2型細胞と神経終末の接合部位に沿う細胞膜下には, しばしば小胞体嚢が見られ, 神経終末は, シナプス小胞と同じ大きさの小胞をかなり多数含有する. この神経終末の性質は 遠心性ではないかと推測される.
アドレナリン作働性神経の検出のために, マウスにL-DOPA と nialamide を前投与した後, 5-hydroxydopamine を投与した. 味蕾下の結合組織には 多数のアドレナリン作働性神経線維が認められ, さらに その中の少数の神経線維は味蕾の基底膜を貫き, 味蕾細胞に接触する. 一部のアドレナリン作働性神経は, 味蕾周辺の上皮細胞間にも分布する. アセチルコリン-エステラーゼ反応を行なったところ, コリン作働性神経線維のほかに, アドレナリン作働性神経線維も陽性を示した.

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© 国際組織細胞学会
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