青森大学付属総合研究所紀要
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アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)先発品・後発品の薬局来訪者における認知度及び使用実態に関する研究
井沼 道子杉原 啓介三上 智治中西 俊博廣津 千絵子栁谷 浩紀三浦 裕也
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2022 年 24 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

近年,後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用量が増加しているなか,一般患者の後発医薬品に対する認識を知るため,後発医薬品の名称の認知度,変更の理由等について薬局来訪者を対象としたアンケート調査を行った.調査対象は高血圧症の治療薬であるアンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(angiotensin II receptor blocker),通称 ARB を主とした.2018 年 2 月 6 日から 4 月 27 日の約 3 ヶ月間,中央調剤薬局の協力のもと,青森市内の同薬局支店 5 店舗において来局者へのアンケート調査を実施し,1713 名分の回答を得た.その結果,「ジェネリック医薬品」という言葉を知っているのは約 9 割,後発医薬品への変更歴があるのは 6 割弱に達し,後発品が名実ともに広く浸透している実態が示された.一方,ARB 各製品の名称の認知度は全体に低く,特に後発医薬品の名称について低い傾向が見られ,個々の製品については関心が薄い人が多いと考えられた.後発品に変更した理由では「薬局で勧められて」という要素が最も多かった.後発医薬品の選択について薬剤師が与える影響は大きいと考えられ,患者に薬の製品まで関心を持ってもらうには薬剤師の役割がより重要になるだろう.

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