抄録
本調査研究は、愛媛県内子町において、地域資源の言語化と大洲和紙を題材としたワークショップを通じて、地域におけるESDの効果を探ることを目的とした。まず、内子町の自然や歴史等の地域資源の言語化を行い、地域の価値を明確にすることで、ワークショップの背景を整理した。次に、大洲和紙の製造過程を体験するワークショップを実施し、質問紙調査の結果、参加者は和紙の製造過程や地域資源に対して高い評価を示し、地域への愛着が醸成されたことが示唆された一方で、こうした認知や理解が直接的な持続可能性配慮行動に結びつくかどうかについては課題が残った。総じて、地域資源の言語化と体験型ワークショップが、地域の伝統文化の再評価と保存に寄与する成果を示したが、参加者の行動変容を促すためのさらなる工夫が必要であることが明らかになった。