2021 年 184 巻 p. 61-65
熱平衡状態にある理想気体の分子運動は通常、重力の効果を無視して考察する。本 稿では重力の効果をはじめから排除するのではなく、まずは重力の効果を実際に計算 し,その上で重力の効果が無視できる値であることを確かめた。計算ではボルツマン 分布を用いて,鉛直方向にそった気体分子の存在分布を求めた。その結果、重力の効 果があると、気体分子の分布が中心から下方に,無視できる程度の偏りが生じること が明らかになった※。さらに気体分子の質量による分布の違いも計算し、質量の大き な分子ほど下方に偏るということも確かめた。 ※ 2020 年 11 月例会での発表では,内容に誤りがあったため,本稿においては修正した。