森林応用研究
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シミュレーションモデルによる広葉樹二次林の遷移の予測 : 銀閣寺山国有林について
伊東 宏樹
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2001 年 10 巻 2 号 p. 27-35

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抄録
ZELIGモデルを元に作成したシミュレーションモデルによって広葉樹二次林の今後の遷移の予測をおこなった。シミュレーションの対象として,銀閣寺山国有林に設置した固定調査区を用いた。正確性に問題があるデータもあり,定量的な評価をおこなうまでには至らなかったが,シミュレーションの結果,定性的には,アラカシの優占度が高まっていくことが予想された。本シミュレーションにおいて優占度を高めていくためには,「新規加入の多さ」・「高い耐陰性」・「長寿命」・「大きな個体サイズ」という4つの条件を満たしていることが必要であると考えられた。アラカシが優占していくというシミュレーション結果が得られたのは,今回のシミュレーション対象とした樹種の中では,この条件を満たすのがアラカシおよびサカキのみであり,サカキは中〜大径木を欠くために優占度の増加が遅い一方でアラカシは既に各段階の個体が揃っていることが理由と考えられた。林分の常緑化を遅らせるような施業をおこなう際には,アラカシに注意することが必要であると考えられた。
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© 2001 応用森林学会
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