抄録
本研究は塩水濯漑が異なる養分条件下で樹木の成長に与える影響を明らかにするため,1年生のギンドロ(Populus alba L.)苗木を用いて,4つ処理区(塩水多施肥区,塩水少施肥区,淡水多施肥区,淡水少施肥区)を設定し,二年間にわたって実験を行った。各年の11月に各処理半分の苗木の掘り取り調査を行い,各器官の現存量及び根の分布を調べた。成長量及び総現存量は淡水多施肥区が塩水少施肥区より大きかった。根の水平,垂直分布は,淡水区と比較して塩水区は分布範囲が狭かった。光合成,蒸散速度及び葉の水ポテンシャルも塩水区では低下する傾向が見られた。塩水区の葉面積も苗木成長年齢の増加に伴って減少した。塩水と養分条件ともにギンドロの成長に影響を与えていることが認められた。植栽後一年目は養分条件がギンドロの成長に影響を与える主な原因になり,二年目は塩水条件と養分条件がともにギンドロの成長に影響を与える原因になると推察された。