抄録
岡山県北部の19〜42年生ヒノキ21林分において,1年間にわたって侵食土砂量を測定し,各林分について,重回帰モデルにより年侵食土砂量の予測を試みた。その結果,保育区における年侵食土砂量の平均値(最小値〜最大値)は2.22t/ha/年(0.80〜5.78t/ha/年)であったのに対し,放置区では約3倍の6.35t/ha/年(0.31〜23.08t/ha/年)であった。斜面傾斜,立木密度,下層植生の植被率の3要因を用いた重回帰モデルにより,年侵食土砂量を高い精度で予測することができた。斜面傾斜が35°以上に達すると,立木密度を500本/haに低下させても侵食土砂量は増加することが予想され,今後,このような急傾斜地における土砂流出防止策を検討する必要がある。