森林応用研究
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雄の穿入数が異なる丸太へのカシノナガキクイムシの飛来
上田 明良小林 正秀
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2003 年 12 巻 2 号 p. 137-142

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抄録
カシノナガキクイムシの雄の穿入数が異なるコナラ丸太を野外に設置し、それへの本種成虫の飛来数の変化を調査した。丸太上に設置した粘着紙による雌雄の捕獲数は,試験開始後11日目までは穿入孔数と正相関したが,穿入孔数が多いと密度非依存になる傾向があった。このことから雄の穿入孔の誘引効果には穿入孔数に対して上限があると考えられた。11日目以後,捕獲数は急速に減少し,穿入孔数との相関関係はなかった。試験開始後に飛来虫によって新たに形成された穿入孔は1孔だけであった。28日目に行った割材調査の結果,交尾後に形成される水平母孔を有する孔道はわずかで,生存虫はいなかった。これらのことから,カシノナガキクイムシの集中攻撃を受けた立木や丸太に対して雌雄が集中的に飛来しても,飛来した雄の穿入数が少なければ,孔道内の未交尾雄が交尾または死亡あるいは脱出することで誘引力が低下し,急速に飛来数が減少して攻撃が終了すると考えられた。
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© 2003 応用森林学会
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