2004 年 13 巻 1 号 p. 63-68
四万十川源流部の森林における洪水流出時のNO_3-N濃度の変動及び負荷特性について検討した。試験流域は高知県梼原町鷹取山国有林内のモミ・ツガ天然林に設定した。3つの降雨イベントにおいて,流量の増加に伴いNO_3-N濃度が上昇することが観察された。各降雨イベントにおける洪水流出で,それぞれ22日,2.1日,8.5日分の基底流出負荷に相当するNO_3-Nが流出していた。これらのことから,洪水流出負荷量は基底流出負荷量よりも非常に大きいことが示された。本流域から流出するNO_3-N年負荷量を適確に評価するためには,洪水時の負荷量を正確に評価し,年間を通して降雨時に流出するNO_3-N負荷量の変動を解明することが必要である。