抄録
近年,林業の経営収支は急激に悪化しており,持続可能な森林経営を行うには,初期育林コストの見直しが必要となっている。そこで本研究では,初期育林の中でも複数回行われる下刈りに着目し,スギ植栽試験地において,全刈りを想定した下刈りの省力化を目的として,植栽木の成長と雑草木の競合状態との関係,および下刈り作業時間と雑草木の繁茂状況との関係を確認した。植栽後約1年の植栽木の成長と,周囲の雑草木の競合状態を調査した結果,植栽木が完全に覆われてしまうと,樹高成長が有意に小さくなり,特に伐採から1年以上経過した試験地では被陰が顕著に起こっていた。また,下刈り作業時間においては雑草木の総量と正の相関が高い結果となった。