森林応用研究
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森林応用研究 23巻2号
キバチ類に共生するキバチウロコタケAmylostereum laevigatumの木材腐朽能力試験
松本 剛史佐藤 重穂
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2016 年 23 巻 2 号 p. 11-14

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抄録

ニホンキバチやヒゲジロキバチの幼虫は,キバチ類が保持する共生菌キバチウロコタケ (Amylostereum laevigatum) が生育した材を利用して成長すると考えられている。その一方で,以前の報告では共生菌のスギおよびヒノキへの腐朽能力試験において,キバチウロコタケには腐朽能力があることが確認できなかった。そこで条件の異なった再試験の必要があると考えられ,キバチ共生菌キバチウロコタケの木材腐朽能力試験を行った。スギおよびヒノキ辺材の木材腐朽能力試験を行った結果,キバチウロコタケで材片の有意な質量減少が認められた。また,キバチウロコタケでは,バーベンダム反応では培地が褐変し,レマゾールブリリアントブルーR分解能試験では色素の脱色が認められた。以上のことより,以前の報告と異なり,キバチウロコタケはリグニン分解酵素群を持ち,また木材腐朽能力を持つ白色腐朽菌であることが示唆された。

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© 2016 応用森林学会
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