森林応用研究
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森林応用研究 24巻1号
植栽後10 年が経過した自然林回復緑化地(神戸市北区)の評価
堀田 佳那石井 弘明
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2015 年 24 巻 1 号 p. 15-20

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抄録

遷移途中段階の二次林の復元は,人為撹乱を受けた景観における生物多様性の回復に貢献できると考えられる.自然林再生においては,しばしば近隣の天然生二次林が目標林に設定されるが,再生の手法はまだ確立されていない.本研究では,植栽後10 年が経過した神戸市の緑化地における自然林再生を評価するため,種組成および林分構造を,目標林として設定された二次林のものと比較した.緑化地では木本種の本数密度が増加し,のり面被覆は成功したものの,林分の垂直構造が未発達であった.さらに,目標林では,マツ枯れ発生後に植生が遷移し,種組成が変化したため,緑化地と目標林の種組成の類似度は植栽時と変わらず,林分構造の類似度は現在の方が低かった.以上の結果から,在来種を一斉に植栽する現在の自然林回復緑化は,植生の量的回復には貢献できるものの,自然林の群落構造を再現するには不十分であると考えられる.緑化地において群落構造を早期に再現するためには,周囲の二次林の遷移にあわせた,継続的な管理が必要であると考えられる.

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© 2015 応用森林学会
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