森林応用研究
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24 巻, 1 号
森林応用研究 24巻1号
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森林応用研究 24巻1号
  • 正木 隆文, 松下 幸司
    原稿種別: 論文
    2015 年24 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2015/02/28
    公開日: 2021/07/07
    ジャーナル フリー

    木材の長期需要予測のためのモデルを作成し、2050 年までの予測を行った。木材を製材用材、合板用材、紙パルプ・チップ(以下、紙パ)用材に分け、それぞれモデルを作成した。外生変数には人口、一般経済指標、建築関連指標、技術変数を用いた。係数の推定方法は普通最小二乗法、使用データは原則として1960 年から2010 年の51 年間の年次データである。モデルの推定結果は以下の通りである。(1)製材分野では、建築関連指標、人口とGDP を加え有意となった。(2)合板分野では建築関連指標のほかGDP も有意となった。(3)紙パ分野では紙・板紙需要と古紙利用率を変数とするモデルが得られた。紙・板紙を用途別に分類しモデルを作成した結果、主に人口とGDP が有意となった。作成したモデルによる予測結果及び考察は以下の通りである。(1)人口減少の結果、2050 年の木材需要は減少する。特に製材用材需要の減少が大きい。(2)本モデルの2020 年予測結果を現行の森林・林業基本計画の2020 年の数値と比較した結果、製材用材と紙パ用材で異なる結果が得られた。(3)紙パ用材需要の割合がさらに大きくなることから、全体の自給率を議論する場合は広葉樹にも目を向ける必要がある。自給率は分母となる需要次第である。

  • 松本 剛史, 佐藤 重穂
    原稿種別: 論文
    2015 年24 巻1 号 p. 9-13
    発行日: 2015/02/28
    公開日: 2021/07/07
    ジャーナル フリー

    スギ伐り捨て間伐試験において,玉切り処理と全木処理によるキバチ類の発生量について比較検討を行った。2006 年3 月と4 月に伐倒処理を行い,伐倒時に全木処理と2 m の玉切り処理に区分して,2006 年12 月まで林内に放置しキバチ類に産卵させた。その後元口から6 m の間伐木を網室に持ち込み,キバチ類成虫の羽化脱出数および産卵孔数を調査した。合わせて伐倒直後および網室回収時の辺材の含水率も調査した。その結果,3 種のキバチ類が羽化脱出した。処理間の比較では全木処理より玉切り処理からのニホンキバチの羽化脱出成虫が少ない傾向にあった。また,玉切り処理では全木処理より回収時の辺材部の含水率が有意に高かった。また,含水率の高い4 月伐倒木では3 月伐倒木に比べて産卵孔数が有意に少なかった。

  • 堀田 佳那, 石井 弘明
    原稿種別: 論文
    2015 年24 巻1 号 p. 15-20
    発行日: 2015/02/28
    公開日: 2021/07/07
    ジャーナル フリー

    遷移途中段階の二次林の復元は,人為撹乱を受けた景観における生物多様性の回復に貢献できると考えられる.自然林再生においては,しばしば近隣の天然生二次林が目標林に設定されるが,再生の手法はまだ確立されていない.本研究では,植栽後10 年が経過した神戸市の緑化地における自然林再生を評価するため,種組成および林分構造を,目標林として設定された二次林のものと比較した.緑化地では木本種の本数密度が増加し,のり面被覆は成功したものの,林分の垂直構造が未発達であった.さらに,目標林では,マツ枯れ発生後に植生が遷移し,種組成が変化したため,緑化地と目標林の種組成の類似度は植栽時と変わらず,林分構造の類似度は現在の方が低かった.以上の結果から,在来種を一斉に植栽する現在の自然林回復緑化は,植生の量的回復には貢献できるものの,自然林の群落構造を再現するには不十分であると考えられる.緑化地において群落構造を早期に再現するためには,周囲の二次林の遷移にあわせた,継続的な管理が必要であると考えられる.

  • 松谷 茂
    原稿種別: 特別寄稿
    2015 年24 巻1 号 p. 21-38
    発行日: 2015/02/28
    公開日: 2021/07/07
    ジャーナル フリー
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