昨今、持続可能な社会を推進する上で、森林教育への期待は増し、その効果に対する評価や改善が求められるが、指導者が内部評価を行うための方法の報告はほとんどない。本研究では、滋賀県が取り組む森林環境学習「やまのこ」事業を対象に、指導者が実践できる簡易なプログラム効果測定方法の開発を試みた。指導者が実践できる方法を開発するため、一連の作業の大部分は、研究者と指導者が共同で取り組んだ。まず、ロジックモデルを作成し、評価指標を決定した。児童の感想文の文章を分類して数値化し、プログラム効果の定量的な測定(方法Ⅰ)を行い、学校間の測定値の差異を比較した。次に、利便性を高めるべく、評価指標に対応する言葉を抽出し、加算する方法(方法Ⅱ)を開発し、方法Ⅰとの差異を比較した。その結果、学校間の比較では、児童と指導者の相互作用が得点に反映されていることが明らかとなった。また、両方法ともにプログラム効果を測定できることが示された一方で、方法Ⅱは方法Ⅰに比べ、「感動驚き」の得点が高いことが判明した。今後はデータを蓄積し、評価指標や分類方法が適正かの検討を重ね、より高い妥当性や信頼性を確保する必要がある。