抄録
市販の低塩分および高塩分イカ塩辛および自家製低塩分イカ塩辛において,腸炎ビブリオの汚染と一般細菌数の変化を検討した.いずれのイカ塩辛においても,腸炎ビブリオの汚染は確認されなかった.市販品および自家製の低塩分イカ塩辛を25℃で培養すると一般細菌数が48時間で1,000倍近くまで増加したが,高塩分のイカ塩辛では一般細菌数は一定に維持されていた.それらのイカ塩辛に腸炎ビブリオを接種して,その増殖を検討したが,どのタイプのイカ塩辛においても,腸炎ビブリオの菌数の増加は見られず死滅した.本研究において低塩分のイカ塩辛でも腸炎ビブリオが死滅したことから,その生育および増殖の要因としてイカ塩辛の塩分濃度だけでなく,水分活性や添加物の影響も検討する必要があると考えられた.