里山二次林は放置により資源の蓄積は多いものの、利活用による収益が見込めないため持続可能な資源循環に必要な管理が進まない。そこで里山材を流通させるためにNFCタグによる立木管理を提案し、2021年10月~2022年6月にかけて、北海道石狩郡当別町のミズナラが優占する落葉広葉樹林、兵庫県丹波篠山市および神戸市北区のコナラと常緑広葉樹が優占する森林、滋賀県高島市のクリが優占する落葉広葉樹林、長野県大町市平および美麻のミズナラが優占する落葉広葉樹林の6ヶ所において実証実験を行った。立木段階で用材として資源利用が見込める樹木の根元に耐候性のNFCタグを付け、クラウドサーバーに樹種、胸高直径、幹通直部の長さ、立木写真を登録した。これにより、樹種毎の資源量やサイズ分布を森林所有者や木材流通における仲介業者、購入者で共有することが容易となるだけでなく、近隣の森林のタグ付け情報を集約することで少量多樹種でも資源利用が見込める。調査地の林分構造によって資源利用の見込める樹種や資源量は異なっていたことから、里山材の利用可能性においては、各地域において資源利用が見込める樹木の調査や活用事例等の知見を蓄積していく必要がある。