森林応用研究
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論文
育苗中の物理的刺激がスギコンテナ苗の形状および植栽後の成長に及ぼす影響
小笠 真由美山下 直子北川 涼藤井 栄飛田 博順
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2024 年 32 巻 2 号 p. 15-23

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抄録

コンテナ苗は高い育苗密度と十分な施肥,潅水の下で育苗されるため,しばしば徒長気味の形態になることが問題となっている。本研究では,育苗中にスギ(Cryptomeria japonica)コンテナ苗を3 分間もしくは30 分間振とうする(揺らす)処理,およびコンテナ苗の樹冠を1 往復もしくは10 往復撫でる処理が,1 成長期中の個体サイズおよび,植栽後の成長に及ぼす影響を調査し,伸長成長の抑制効果を検証した。その結果,コンテナ苗の樹冠を10 往復撫でる処理により1 成長期後のコンテナ苗の苗長が対照区の苗と比べて15%低くなった。揺らす2 処理区では5 週間の処理期間中に苗長が抑制されたものの,その効果は1 成長期後には認められなくなった。これらの苗を植栽した結果,植栽後の樹高成長に育苗時の処理の履歴は認められなかったのに対し,植栽1 年後の樹高成長には開空率が負の効果を,植栽2 年後の樹高成長には開空率に加え土壌の電気伝導度が正の効果を,土壌硬度が負の効果を示した。このことから,コンテナ苗の樹冠を撫でる処理によって伸長成長の抑制が可能であること,また,植栽後の苗の成長には育苗中の物理的刺激の履歴より,植栽地の環境条件が与える効果が大きいことが明らかとなった。

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© 2024 応用森林学会
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