2026 年 34 巻 2 号 p. 13-17
本研究では,滋賀県大津市の都市近郊林に位置する森林公園における夜間の昆虫採集活動に関して,保護者の認識と森林管理の課題を検討した。2025年7月から8月にかけて,春日山公園で幼児・児童と昆虫採集を行った保護者26名を対象に,訪問者への質問紙調査を実施した。調査票には,属性情報,活動経験,公園入園料に対する支払意思額,森林管理および安全性に関する意識を含めた。調査の結果,子どもの多くが夜間の昆虫採集を楽しんでいた。一方で,採集できた甲虫類の個体数は期待より少なく,期待と実際の成果に乖離が認められた。支払意思額は,学校教育における自然体験の不足感や生息環境管理の必要性との間に正の相関がみられた。一方,過去の採集経験の頻度や夜間の森林公園の混雑感とは負の相関を示した。さらに,夜間の昆虫採集の教育的効果を重視する保護者は,歩道整備に強い選好を示した。以上の結果から,森林公園の環境管理においては,安全でアクセス可能な歩道,適切な照明,クヌギなど樹液を出す樹種の維持が重要であると考えられる。また,森林管理の生態学的意義を利用者に周知することが,保全政策への理解と支持を促進する上で有効である。