森林応用研究
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関西地域における高性能林業機械の利用実態とその課題 : 導入事業体アンケート調査結果を中心に
野田 英志田村 和也細田 和男
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1999 年 8 巻 p. 1-6

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抄録

わが国の高性能林業機械保有台数は,平成期に入り大幅に増加してきた。しかし現状では機械の効率的運用面等で問題指摘も多くなされており,その普及・定着には解決すべき課題が多いと見られる。そこで,関西地域において高性能林業機械を導入している事業体を対象としてアンケート調査を実施し(平成9年12月実施,調査対象109事業体,回収率53%),高性能林業機械導入の経緯や利用の実態,また利用上の問題点や限界等を探った。機械を導入した結果の評価では,9割の事業体が「導入して良かった」としているが,同時に,高性能機械を利用する上で,機械が効率良く稼働できる作業環境や事業量の確保が大きな問題となっていることもわかった。「問題は,立木所有者が高性能機械伐出システムに応じた伐採計画をしてくれるかだ」といった森林の所有と利用(経営)の現構造に係わる問題指摘も見られた。高性能林業機械の効率的な活用とその定着を図っていくためには,現在の個々の林家の「個別意思決定」に依拠した木材生産の仕組みを,部分的に森林の地域経営方式を導入し,変えていくことも必要と考えられる。

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© 1999 応用森林学会
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