森林応用研究
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林業労働現場における若年林業労働者確保対策の到達点 : 兵庫県一宮町森林組合の事例から
益尾 大祐
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1999 年 8 巻 p. 7-12

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抄録
林業労働者の減少と高齢化に悩む林業事業体が多い中,一方で地元・都市からの若い労働力を受け入れ,労働力の若返りに成功する事業体も見られるようになってきた。本稿では,地域の林業事業体が全国に先駆けて労働力確保に取り組み,成功したことで知られる兵庫県一宮町森林組合を事例に取り上げる。同組合では1980年代初頭から,月給制と定期昇給制の給与体系を基本とする現業職員制度を導入し,雇用条件の安定化や機械化を進めるなどした結果,若い労働力が確実に定着してきている。一方,このように先進的に取り組んできたところにおいて,近年月給制を維持するための負担増が事業体自身の経営を圧迫するという事態が発生してきている。同組合では試行錯誤のすえ,1993年(平成5年)から今後新たに採用する者に対して採用後5年間は日給月給制を採用し,その後は出来高制へ移行させるとする森林技術員制度を発足させた。若い林業労働力を確保するためには,月給制・定期昇給制を導入することが大変有効であることを先導的に示してきた同森林組合が,現在抱えている課題について考察する。
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© 1999 応用森林学会
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