森林応用研究
Online ISSN : 2189-8294
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ISSN-L : 1342-9493
8 巻
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  • 原稿種別: 表紙
    1999 年 8 巻 p. Cover1-
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1999 年 8 巻 p. App1-
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1999 年 8 巻 p. App2-
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1999 年 8 巻 p. App3-
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1999 年 8 巻 p. App4-
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    1999 年 8 巻 p. Toc1-
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 野田 英志, 田村 和也, 細田 和男
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 1-6
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    わが国の高性能林業機械保有台数は,平成期に入り大幅に増加してきた。しかし現状では機械の効率的運用面等で問題指摘も多くなされており,その普及・定着には解決すべき課題が多いと見られる。そこで,関西地域において高性能林業機械を導入している事業体を対象としてアンケート調査を実施し(平成9年12月実施,調査対象109事業体,回収率53%),高性能林業機械導入の経緯や利用の実態,また利用上の問題点や限界等を探った。機械を導入した結果の評価では,9割の事業体が「導入して良かった」としているが,同時に,高性能機械を利用する上で,機械が効率良く稼働できる作業環境や事業量の確保が大きな問題となっていることもわかった。「問題は,立木所有者が高性能機械伐出システムに応じた伐採計画をしてくれるかだ」といった森林の所有と利用(経営)の現構造に係わる問題指摘も見られた。高性能林業機械の効率的な活用とその定着を図っていくためには,現在の個々の林家の「個別意思決定」に依拠した木材生産の仕組みを,部分的に森林の地域経営方式を導入し,変えていくことも必要と考えられる。
  • 益尾 大祐
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 7-12
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    林業労働者の減少と高齢化に悩む林業事業体が多い中,一方で地元・都市からの若い労働力を受け入れ,労働力の若返りに成功する事業体も見られるようになってきた。本稿では,地域の林業事業体が全国に先駆けて労働力確保に取り組み,成功したことで知られる兵庫県一宮町森林組合を事例に取り上げる。同組合では1980年代初頭から,月給制と定期昇給制の給与体系を基本とする現業職員制度を導入し,雇用条件の安定化や機械化を進めるなどした結果,若い労働力が確実に定着してきている。一方,このように先進的に取り組んできたところにおいて,近年月給制を維持するための負担増が事業体自身の経営を圧迫するという事態が発生してきている。同組合では試行錯誤のすえ,1993年(平成5年)から今後新たに採用する者に対して採用後5年間は日給月給制を採用し,その後は出来高制へ移行させるとする森林技術員制度を発足させた。若い林業労働力を確保するためには,月給制・定期昇給制を導入することが大変有効であることを先導的に示してきた同森林組合が,現在抱えている課題について考察する。
  • 大代 朋和
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 13-18
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    楽器用の木材は音響上高品質が要求される。本研究では日本国内で大量に生産されているピアノに注目し,ピアノに使用される木材,特に響板材料がどのように変化しているのか明らかにする。日本においてピアノ生産が本格的に開始されたのは戦後のことである。特に昭和30年代後半からピアノの生産量は急増した。このピアノ生産量の増加に対応するために原材料,特に木材の安定供給が必要不可欠であった。当時日本で一般的に使用されていた響板材料であるエゾマツは資源量が減少し,伐採量も急激に落ち込み始めていた。しかし昭和36年に木材の輸入が自由化され,エゾマツの代替材としてシトカスプルースが使用され始めた。現在ではシトカスプルースが供給の安定性という点で主流となっている。しかしながら,量的には少なくなっているがエゾマツの利用が続いているほか,近年ではヨーロピアンスプルースやチャイニーズスプルースの利用が始まっている。ピアノ製造業では,ピアノ需要の落ち込みによる生産量減少に対応するため,グレードの違う木材を利用することで幅広いユーザーの獲得を目指している。
  • 野瀬 光弘
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 19-26
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    1992年の地球サミットで国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)が署名され,1997年にはフォローアップとして開催された第3回締約国会議(COP3)において京都議定書が採択された。議定書の条項によると,森林に関しては二酸化炭素の排出や吸収を温室効果ガスの増減に含める手法を検討することになっている。本論文では,森林蓄積の推移をたどるとともに,森林セクターを製材,紙・パルプ,合板の3部門に分けて木材のフローを炭素に換算した。定量化は,木くず量の内訳がわかる1979年と1991年とした。森林蓄積は,輸入木材が国内生産の不足分を補ったことと,広葉樹林がより生産性の高い針葉樹林へ転換したことによって大きくなってきた.製材部門は,住宅への炭素フロー量が増加した一方で木くず量は減少した。合板部門は,国内生産が落ち込んだために木くず量が減少した。紙・パルプ部門は,需給量と連動して古紙と紙ごみの量が増大した。3部門を合計すると,1979年から91年にかけて森林セクターの炭素フロー量全体が増加し,炭素放出量では紙・パルプ部門が約8割を占めるようになった。
  • 岩松 文代
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 27-31
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    山村の地域おこしのひとつとして,豊かな自然環境,農林業や日本文化を活かしたグリーンツーリズムがある。本研究では,茅葺き屋根の民家を活かして集客している京都府北桑田郡美山町北集落において,茅葺き屋根の保存と各種の施設を運営している集落組織「かやぶきの里保存会」(以下,保存会)に焦点を当て,組織運営の成立要因とその効果について分析した。北集落では当初,茅葺き屋根保存の地区指定や保存会の設立,各種補助事業が行政主導で進められたが,その後,保存会によって住民が活発に活動し,集落の様々な資源や特性が再生,活用されることになった。この地域おこしにより,茅葺き屋根を始めとする景観資源の保全は行政主導であったが,それを機に始められた保存会活動によって,集落住民に根付いていた共同労働,相互扶助意識も再生された。行政主導の地域おこしから自発的な集落組織の活動へと移行できた要因は,住民の中にリーダー達が存在していたことが大きい。そして,グリーンツーリズムの展開に伴って,保存会は集落づくりを自主的に発展させていく組織力を持ちつつあることが認められた。
  • 長崎 敏也
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 33-38
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    近年,南方熊楠が,明治政府による「神社合祀」に反対し,神社と神社林を守る運動を行ったことが,環境保護運動の先駆として,最近の環境問題に対する関心の高まりとともに注目されるようになっている。現在のところ,南方熊楠は,明治時代に既に「エコロジー」という言葉を用いたことから,自然と人間の生活をつながりあるものとしてとらえる,現代の環境保護に関する思想に相当する思想を持ち,神社合祀反対運動はその視点に立って行われたもめであるとする見方が有力である。しかし,南方熊楠が神社合祀反対運動に際して用いた論理は,「神社」が廃社となることによって,地域社会の習慣や伝統が崩壊し,「神社林」を伐採することによって貴重な生物が滅ぶというものであり,「神社」と「神社林」は分離されている。自然と人間の生活との関係については,既に主張され,あるいは知られていたことを利用しているに過ぎず,「エコロジー」という言葉も,当時外国で既に誕生していた「生態学」を意味する程度である。
  • 前出 健太郎
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 39-43
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    米国には,内務省国立公園局とそれを支援する多くの民間団体が運営する国立公園ボランティア制度に基づく活動があり,毎年多くの人々が参加し,国立公園を維持管理している。参加者は活動に必要な衣食住や事故に際する保障が整えられた待遇で,多彩な選択肢の中から希望するプログラムを選び活動しており,その人員は年々増加の傾向にある。しかし,財政再建を担ったクリントン政権以降での,国立公園関連予算の抑制の影響を受け,プログラムの規模の縮小や質の低下を余儀なくされた。こうした環境下で,従来国立公園の維持管理を支援してきた民間団体がプログラムの充実を維持するために,活動の範囲を広げて組織を活発化させる必要に迫られ,国立公園の維持管理のより多くを担うようなった。本論文では,こうした流動的な民間団体の活動の推移を,行政と,個人及び企業に支援されたNPOとしての民間団体との相互関係に留意して,内務省国立公園局やそれを支援する民間団体がボランティア制度について行った調査資料等に基づき,予算削減が国立公園ボランティア制度にもたらした影響や,それを補うために民間団体が取り組んでいる国立公園の運営について明らかにした。
  • 黒川 泰亨, 内田 尊史
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 45-50
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,保健休養,レクリェーションなど多くの機能を併せて持つ森林公園において,アメニティ(快適性)を形成すると考えられる諸因子に関する公園来訪者や公園管理者等の意識構造を明らかにすることにある。調査対象地は島根県宍道町の「ふるさと森林公園」である。森林公園のアメニティという曖昧な概念の数量的評価にAHP法(Analytic Hierarchy Process:階層化意思決定法)を使用した。当該公園の管理者と公園利用者を対象としてアメニティを構成すると想定できる因子に対して一対比較法によるアンケートを実施し,AHP法によって意識構造の階層怪を分析した。分析の結果,森林自体によるアメニティと施設利用によるアメニティに関しては,前者を評価した者が圧倒的に多かった。また森林自体のアメニティについては視覚によるとした者が圧倒的に多く,次いで聴覚によるとした者が多かった。視覚によるアメニティに関しては美しい景観と緑の量をあげた者が多かったが,緑の質をあげた者は少なかった。さらに施設利用によるアメニティに関しては運動施設利用,宿泊施設利用,学習施設利用の割合にバラツキが認められ調査対象者によって評価が分かれた。これらの分析結果は森林公園等の今後のあり方に有益な示唆を与えるものと考える。
  • 伊藤 敬子
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 51-56
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    近年,スギ等の花粉によって引き起こされる花粉症問題が社会問題になっている。花粉症の原因の一つにスギがあげられている一方で,スギは成長が早く,建築用材として有用であることから,日本では広く造林され,林業を支えている重要な木でもある。このスギの持つ二面性をふまえたうえで,スギ林また森林全般の管理について一般市民がどのような意見を持っているのかを,花粉症の実際の発症状況等と合わせて調べた。調査方法は淀川上・下流に居住する計2,000人を対象にしたアンケート調査の実施とその集計であり,上流と下流とにおける回答の差異についても調べた。調査の結果,花粉症発症者は上・下流とも2割弱であるごとがわかった。また,花粉症の発症はスギ花粉にとどまらず,他の様々な要因に影響されているという認識が多くみられた。このためスギ林の存在については,スギの林業経営における重要性をもふまえて総じて好意的な意見が多かったが,そのなかでは花粉の少ないスギに植えかえてほしいという意見が大勢を占めた。今後は花粉症の原因かつ林業主要樹種でもあるスギ林の管理に,一般市民の意見をいかに取り入れていくかが課題となる。
  • 松村 直人, 小谷 英司, 宇久 真司
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 57-64
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    「持続可能な森林経営」の現地実証活動の試みとして,地域レベルでの基準・指標を検討するための森林モニタリング事業が北海道(石狩・空知森林計画区)及び高知県(四万十川森林計画区)をモデル流域として平成8年度より10年間の予定で始まった。この事業は林野庁から北海道,高知県への委託調査として実施されている。また,森林総研の北海道支所,四国支所が事業の設計,評価を支援している。初年度にこの調査事業の基本的枠組みについて検討し,運営協議会,調査委員会を設置した。モントリオール・プロセスにおいて,国レベルで7基準,67指標について合意されているが,このなかで高知県ないし地域レベルで取り組み可能と思われる指標について,データの収集,計測を開始したので,その概要について報告する。
  • 石橋 公雄, 西 政敏
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 65-72
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    島根県内における平成8年時点での素材生産業の事業実態を調査した。素材生産可能事業体は365あり,現在生産を行っている事業体は245であった。製材業で素材生産も兼ねて行う地場曳き業者は38に過ぎなかった。年間の全素材生産量は420,320m^3であり,広葉樹とマツ類が79%,スギとヒノキが21%を占めた。森林組合の素材生産量は,全体の7%に過ぎなかった。1事業体当たりの平均年間素材生産量は1,716m^3であった。1人1日当たりの平均素材生産量は2.07m^3であった。素材生産にかかわる労働者数は1,043人であり,80%は常時雇用であった。39歳以下が11%であり,60歳以上の高齢者が42%を占めた。素材生産に必要な各種免許・資格の取得状況はチェーンソー特別教育修了者など伐採に関しては資格取得労働者が多数存在していた。
  • 西 政敏, 石橋 公雄, 小谷 英司, 松村 直人
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 73-76
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    来島県有林の290小班を対象に,GISを用いてタワーヤーダによる集材作業の可能な範囲を把握する方法を検討した。GISによって対象林分の森林資源,傾斜および到達距離,それぞれの分布図を作成した。タワーヤーダによる集材作業の対象林分として,スギ,ヒノキおよびその混交林の部分[128小班],傾斜は33〜55%の部分[88小班],到達距離は0〜150mの部分[153小班]を抽出した。三条件を満たす小班を検索した結果,全体の約10% [31小班]となつた。
  • 中島 嘉彦, 芦田 素廣
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 77-80
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    高性能林業機械の性能を生かす列状間伐と従来の非列状間伐の間伐効果を,メッシュ法を用いて,間伐前後の各立木の占有面積変化で検討した。列状間伐の間伐効果は従来の非列状間伐に若干劣るが,伐採列間の近傍の立木を必要に応じて伐採することにより,従来の非列状間伐とほぼ同様の間伐効果が得られることがわかった。列状間伐は作業能率が高く,その集材線が次の間伐や保育作業に利用できるという長所もある。
  • 西山 嘉寛
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 81-84
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    当林業試験場で開発中の板状植生マットを1994年8月の大規模林野火災で被災した玉野市王子ケ岳の谷部に1995年3月,4月にそれぞれ設置し,3年間追跡調査を行うとともに周辺部の植生回復状況を調査した。南東斜面より北西斜面の方がワラビの繁殖が旺盛であった。実生再生のキリ,オオバヤシャブシ,エニシダ,植生マットに使用したキリ,ヤマザクラ,クリではワラビよりも大きい個体がみられ,ワラビの繁殖を抑える効果が認められた。植生マット3樹種の生存率はいずれも60%以上であった。以上の結果より,山火事跡地を早期に緑化する場合,治山事業に実績のあるオオバヤシャブシ,エニシダのほかに初期成長の良いキリ,クリ,ヤマザクラを導入した緑化は有効であることが示唆された。
  • 徳地 直子, 中西 麻美, 山下 多聞, 武田 博清
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 85-88
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    熱帯季節林において,土壌中の窒素の循環を調査する目的で,様々な形態の炭素・窒素の蓄積量および現存量を調査した。表層30cmに蓄積していた全炭素・全窒素,C/N比は45.5〜94.3 ton ha^<-1>, 2.2〜5.8 ton ha^<-1>, 17〜22の範囲にあり,わが国における値と大きな違いはみられなかった。水溶性有機炭素や微生物バイオマス由来の炭素濃度はわが国より若干低い値を示し,林床に有機物が堆積していないことが関係していると考えられた。水溶性有機窒素や微生物バイオマス由来の窒素濃度,無機態窒素現存量はそれぞれ60-243mg N kg^<-1>, 70.6〜391.8mg N kg^<-1>, 8.1〜64.8mg N kg^<-1>の範囲にあった。これらの濃度はすべての地点で最表層で最も高く,地表からの深さに伴って急速に低下した。根系の分布も,最表層に集中して養分濃度の分布と対応がみられた。しかし,最表層での無機態窒素濃度は水溶性有機窒素の51%を占め,無機化率が高く,植物の吸収以外の養分保持機構の存在が示唆された。
  • 山下 多聞, 中西 麻美, 徳地 直子, 武田 博清
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 89-94
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    タイ国森林土壌の表層部分の化学性および養分蓄積量を調べるために,タイ国東部のサケラート環境研究林と北部のコグマ試験林(斜面上部および斜面下部)の2カ所に調査地を設置した。採取した土壌について,全炭素と全窒素,水とKCl抽出のpH,交換性ミネラルおよび陽イオン交換能(CEC)を測定した。水抽出のpHは4.1が最低で,5.4が最高であった。pH (KCl)はサケラートの3.6が最低で,コグマの有機物層および鉱質土の4.6が最高であった。また,ΔpHは,有機物層では-0.4〜-0.6の,鉱質土では-0.6〜1.0の範囲にあった。炭素濃度はサケラートでは1〜2%,コグマでは3〜12%であり,コグマではサケラートより多くの有機物を含んでいた。土壌中の陽イオンの総和は,サケラートで0.7〜1.2cmol(+)kg^<-1>の,コグマでは0.2〜1.7の範囲にあった。サケラートの土壌は, CECが10cmol(+)kg^<-1>未満と低いが塩基飽和度が10%と高く,コグマの土壌はCECが10〜20cmol(+)kg^<-1>と高いが塩基飽和度が3%前後と低い傾向がみられた。
  • 中西 麻美, 徳地 直子, 勝山 正則
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 95-102
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    森林流域内の土壌溶液,地下水,湧水および渓流水の蛍光物質について,三次元蛍光光度法を用いて分析を行った。得られた三次元蛍光スペクトルから,検出された蛍光物質はフルボ酸様物質であることが示された。斜面上部・中部・下部の3地点において採水した土壌溶液の蛍光特性は,斜面の位置および土壌深度により異なった。斜面中部では深さ方向で蛍光強度ピークが低下し,異なる蛍光特性を示した。不飽和帯型の井戸における地下水は斜面上部・中部の表層での土壌溶液と同じ蛍光特性を示し,不飽和型井戸の地下水は飽和側方流による土壌溶液の移動により生じることが確認された。飽和帯型井戸の地下水と土壌溶液の蛍光特性は異なりまた飽和帯型井戸および湧水,渓流水では明らかな蛍光強度ピークは認められなかった。流域内の試料水の蛍光特性は大きく3つのタイプに分けられ,この分類は腐植物質の空間分布と一致することが推察された。森林流域の溶存有機炭素の分析において三次元蛍光光度法が有効であることが示された。
  • 大園 享司, 武田 博清
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 103-108
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    ブナ落葉上の菌類相の遷移を研究する上で菌類相の記述法の確立が重要である。本研究では,培地と培養期間が菌類相の記述に及ぼす影響について検討を加えた。材料は,京大芦生演習林において1996年12月に設置し,1997年9月に回収したリターバッグ内のブナ腐朽葉である。2種の栄養培地(_<LC>A:貧栄養,PDA:富栄養)を用いて菌類の分離を行い,種数および菌類相を比較した。その結果,_<LC>AではPDAに比べて有意に多くの種が出現した。これらの菌類相を比較すると,PDAでは成長速度の早い種が選択的に出現した。また2ケ月間,毎週平板を観察して菌類の出現を記録した結果,5週間目で全出現種数の80〜90%近くが出現した。したがって,栄養培地として貧栄養培地である_<LC>Aを用い培養期間を2ケ月間とするごとで,ブナ落葉上の菌類相の記述が有効に行えると考えられた。
  • 首藤 勝之, 糟谷 信彦
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 109-112
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    30年生スギ人工林において斜面上の上部,中部,下部に調査区を設け,土壌呼吸量,リターフォール量,の季節変化及び細根量等を測定した。土壌呼吸速度は地温の上昇と共に指数的に増加しy=a exp (bx) (y:土壌呼吸速度,x:地温,a,b:定数)により近似できた。この式を用いて1997年9月から1年間の土壌呼吸量を推定すると上部,中部,下部の順に11.5, 13.4, 6.4 (tC/ha/yr)となり,細根量が他と比べて少ない下部で小さかった.また,小面積の周囲の根を切断した所と自然状態の所の土壌呼吸量の差から根の呼吸量を算出した。その結果,根の呼吸量はスギ上部,中部,下部の順に2:7, 2.0, 1.8 (tC/ha/yr)であり,また,リターフォール量は上部,中部,下部の順に3.2, 3.9, 4.0 (t/ha/yr)であった。ここで土壌有機物が一定と仮定すると,土壌呼吸量≒リターフォール・根リタ一による炭素の供給量+根の呼吸量,となり,これらの値を代入して土壌呼吸量の構成比を検討したところ,より湿潤で細根量の少ない下部でリターフォールと根の呼吸の占める比率が他より高かった。
  • 山田 毅, 吉永 秀一郎, 森貞 和仁, 平井 敬三, 吉田 桂子, 三浦 覚
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 113-116
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    高知市にある森林総合研究所四国支所構内において,1991年4月から1997年12月まで観測した林外雨・林内雨・樹幹流中に含まれる硫酸イオン・硝酸イオンの濃度,両イオンの林地への負荷量とその変動について検討を行った。硫酸イオン負荷量は,林外雨・林内雨・樹幹流でそれぞれ2.63〜4.40, 3.13〜4.93, 1.13〜1.70g m^<-2>であった。一方,硝酸イオンの負荷量は,林外雨・林内雨・樹幹流でそれぞれ1.02〜1.94, 1.20〜2.08, 0.16〜0.45g m^<-2>であった。林内雨と樹幹流の硫酸イオン負荷量の和は4.26〜6.31g m^<-2>であり,林外雨の値より高い値を示した。これに対して,林内雨と樹幹流の硝酸イオン負荷量の和は1.36〜2.85g m^<-2>であり,林外雨の硝酸イオン負荷量と同等ないしはやや高い。このことは,降水が林内を通過すると,硫酸イオン負荷量が増加することを示している。
  • 高橋 絵里奈, 竹内 典之
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 117-120
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    250年生といわれる人工林を有する吉野でさえ,過疎化,高齢化の問題は深刻で,近い将来長伐期で山林を守り育てる技術が途絶えてしまう懸念がある。従って,長伐期での人工林管理技術の体系化と保存が急がれる。そのため,東吉野村杉谷で長年山守として人工林の保育,間伐に携わってきた垤忠一氏の経歴と,選木の基準についての聞き取り調査を行い,垤氏が,山仕事に楽しさとやりがいと自由を見いだし,山守としての責任感を持って,身近な先達に学び,その精神と技術を引き継いで,長年にわたってこれを実践してきたということを明らかにした。また,除間伐の選木基準は,1.足数をそろえること。(林分を均質に管理する)2.枝張りに注目すること。(永代木などの見極め)3.上の木を伐ること。(他の木の成長を害する木を積極的に伐る)の3点にまとめられた。
  • 高橋 絵里奈, 竹内 典之
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 121-124
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    東吉野村杉谷の山守,垤忠一氏による除間伐の調査を行い,特徴を示した。長伐期を前提として除間伐を実施し,除間伐前後の試験地全木の胸高直径を測定した。直径階別本数分布を比較すると,若齢林分と高齢林分では,同じ基準によっていても,除間伐のしかたが異なった。また,試験地の除間伐前後の状態を,密度管理図を用いて示し,吉野の収穫予想表を用いたものと比較した結果,試験地の管理は,吉野の中庸間伐に相当することが明らかになった。さらに,吉野と和歌山について,木口断面の年輪分布の比較を行った結果,吉野では高齢まで年輪幅がそろう施業が行われていることが確認できた。
  • 前田 雄一
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 125-128
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    9年生のブナ,トチノキ人工林を対象に,現存する本数と発生していた各種の被害状況を調べた。ブナとトチノキは,植栽時から最終調査までの間(9年間)に30〜50%が減少していた。スギ,ヒノキの減少率は5%なので,明らかにブナとトチノキの現存本数は少ない。ブナ,トチノキ林で発生していた被害の種類は,下刈りに伴う誤伐および獣害,虫害であった。このうち,誤伐の被害が一番多く,被害率は40〜70%であった。ブナ,トチノキの誤伐被害木と無被害木の樹高を比べると,圧倒的に無被害木(ブナ130cm,トチノキ180cm)の方が大きい。被害木の平均樹高は,ブナが40cm,トチノキが70cmであった。ほとんどの被害木は,灌木や草本類(高さ100cm)に覆われていた。そして,これらは,主軸の枯損や動物の食害を受けながら,また,再生するというパターンを繰り返していた。
  • 伊東 宏樹, 清野 嘉之
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 129-132
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    京都府南部の孤立常緑広葉樹林12林分について,調査区内に出現した維管束植物の種の在・不在データをもとに対応分析(correspondence analysis; CA)をおこない,これらの林分を座標づけた。林分面積,および林分と同じ面積を持つ円に対する周囲長の比,この地域では原生的で大面積の林分を持つ春日山からの距離の3つの要因を林分の孤立化に関わる環境傾度として考え,これらによってその結果をどの程度説明できるかを検討した。CAにより林分を座標づけたときの第1軸の各林分のスコアは林分面積と有意な相関があり,これらの林分の種構成が林分面積に影響をうけている可能性をしめした。第2軸については,各林分のスコアは2つのグループにわかれる傾向があり,また春日山との距離との間に有意な相関があった。ただし,春日山に近い林分であっても,その種構成が春日山のものとはかなり違っていることからこの相関は種子供給源からの距離を反映したものというよりも,位置関係による種構成の変化を反映したものであるという可能性も考えられた。
  • 田淵 隆一, 酒井 武, 倉本 恵生, 酒井 敦, 大黒 正, 川崎 達郎
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 133-136
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    立木密度10,000本及び40,000本/haに密植した小面積のタイワンフウ11年生林分のサイズ構造を調べ,現存量を推定した。林分の周縁部を除いた地際直径と推定樹高の平均値は,10,000本区と40,000本区でそれぞれ7.4cm,9.3m及び4.4cm,8.4mであった。地際における断面積合計は45.2及び66.7m^2/haであった。樹冠の位置は樹高差を反映して異なるが,その深さには異なる密度区間で明らかな差は認められない。伐倒調査によりアロメトリーを求め,現存量を推定すると,幹,枝,葉について10,000本区と40,000本区のそれぞれで,48.3, 3.1, 2.3と61.9, 3.6, 2.8 (ton/ha)となった。生存率は両区とも96%と高かった。サイズに競争密度効果はみられたが,自然間引きが生じるまでには至っていなかった。
  • 丹原 哲夫
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 137-142
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    ブナ,ミズナラ,クリ,ケヤキ,トチノキ,オニグルミ,ヤマザクラおよびウワミズザクラの8樹種12カ所の広葉樹母樹林において1992〜1998年の5〜7年間にわたり,シードトラップによって種子落下数を調査した。ブナ,ミズナラ,クリ,ケヤキ,ウワミズザクラおよびオニグルミは調査年次によってはほとんど結実しない年もあった。また,ブナ,ミズナラ,ケヤキ,ウワミズザクラおよびオニグルミは隔年結果性を示した。一方,トチノキ,ヤマザクラは調査年次による大きな違いがみられなかった.豊作年とみられる年の1m^2あたりの種子落下数は,ブナ約150〜300粒,ミズナラ約100粒,クリ約30〜60粒,ケヤキ約500〜3,000粒,オニグルミ約10〜20粒,ウワミズザクラ約750粒であった。また,ヤマザクラ,トチノキの平均種子落下数はそれぞれ約880粒,約40粒であった。12調査地の平均種子重量と最大種子落下数には両対数軸上で負の直線関係が認められた。このことから,樹冠単位面積あたりに生産される種子数は,樹種が異なってもその種子重量に対応した上限値が存在すると推察した。
  • 藤田 徹, 上家 祐, 野埼 愛
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 143-146
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    林地土壌に埋め込み微生物に汚染されたホンシメジ培養菌糸からはトリコデルマ菌が優占種として検出された。土壌を400℃以上で焼成すれば微生物の増殖が抑制された。焼成した土をホンシメジ培養菌糸体の周囲に埋め込んで菌根形成を促進することを試みた。この方法は土壌微生物による汚染から培養菌糸を守るのに有効であり,殺菌剤であるベノミルを使用する方法と同程度の効果があった。
  • 鳥越 茂, 藤堂 千景
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 147-150
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    3か月間加水堆積したスギ鋸屑5Lを使用し,鹿沼土,コーンコブは0L,1L,1.5L,モルトフィード,ふすまは1L,1.5L,2Lの割合で加え,子実体を発生させ,最適配合比を検討した結果次のことが分かった。1.鹿沼土は添加量が増加するにつれpHが高くなり,蔓延期間が短縮され,正常子実体も増加する。2.ふすまは添加量の増加につれ蔓延日数が長くなり,正常子実体が減少する。3.この試験において,スギ鋸屑5Lに対する最適配合割合はふすま1L,鹿沼土2L,モルトフィード1.5L,コーンコブ2Lであった。4.スギ鋸屑を使用する場合,堆積期間3か月では菌糸阻害物質の除去が不十分なため,伸長が阻害され,奇形子実体発生の原因となるので,堆積期間をさらに長くする必要がある。
  • 藤原 直哉
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 151-154
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    サクラは有用な樹木として,交配による育種や組織培養が行われてきた。勝山町指定天然記念物「四季桜」の茎頂培養中に,カルスが葉,茎部に形成された。そのため,植物体の再生を目的とした葉片の液体培養を行った。「四季桜」の葉片を,オーキシンを中心に,NAAとIBA, IBAとIAA, IAAとBA, BAと2,4-D, 2,4-DとIBAを組み合わせたMS液体培地で60日間振とう培養した(24℃,100r.p.m.,暗黒下)。その結果,微量のカルスが広範囲のホルモン条件で形成された。特に高濃度のNAAでカルスから不定根の形成が認められ,他の組み合わせでは多くの場合葉片が褐変した。これらのカルスは光条件と培地の濃度,糖の種類を変えたMS培地で60日間振とう培養したが,変化は確認されなかった。系統別では,哲西町のオオシマザクラ系「御衣黄」の葉片をNAA100uM含むMS寒天培地で培養したところ,7日間で切断面にカルスを形成し,不定根が発生した。落合町のエドヒガン系「醍醐桜」では微量のカルスを形成したが褐変した。いずれの場合も不定芽の形成は認められなかった。
  • 田中 正臣, 石井 克明
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 155-160
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    培地支持体(寒天とフロリアライト)と炭素源(炭酸ガスとショ糖)を組み合わせて,ヒノキとクヌギの発根培養を行い,シュートに与える影響について検討した。発根率は,ヒノキでは寒天支持体の方が,クヌギではフロリアライト支持体の方が大きかった。ヒノキ・クヌギともフロリアライト支持体における発根量は,寒天より小さかったが,成長率は大きくなる傾向にあった。発根率・発根量はショ糖濃度2%区の方が大きかった。ヒノキでは炭酸ガス施用による独立栄養成長が可能であったが,クヌギでは低照度のため炭酸ガス施用効果は少なかった。
  • 上田 明良, 藤田 和幸
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 161-164
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    マツノマダラカミキリ幼虫の蛹室内での日長感受性の有無を確かめるため,1997年11月19日,林内に放置されていた当年枯れアカマツ丸太を採集し,11月20日および12月22日に剥皮して樹皮下幼虫を取り除いたのち,5カ月間25℃全暗,短日(LD10:14),長日(LD16:8)下で加温した。11月20日に加温した場合,羽化率はそれぞれ,57.1, 26.7, 95.8%で日長による羽化率の違いがみられ,蛹室内の幼虫が日長に反応することが示唆された。12月22日加温の場合,いずれも100%羽化した。これは1カ月間の短日と低温の経験により休眠消去の程度が高くなっていたためと考えられた。本研究では野外被害丸太を用いたため,幼虫が寄生または捕食された空室の蛹室率が78.9%と非常に高く,これらのいくつかには,クロアリガタバチ,単寄生蜂の繭およびオオコクヌストの幼虫がみられた。蛹室内での日長の感受性を確証するためには,今後,寄生・捕食を排除したより精度の高い室内実験が必要と考えられる。
  • 上田 明良
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 165-168
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    日本産のマツノマダラカミキリの後休眠発育へ入るときの臨界日長を知るために,野外および室内の網室内でアカマツ丸太に産卵させ,11月21日に割材して採集した蛹室内黄色成熟幼虫をガラス瓶に移し,25℃,LD10:14,LD13:11,LD14:10,LD15:9,LD16:8の5つの日長条件下で加温して蛹化・羽化を観察した。野外網室から得た幼虫の加温では,3カ月以内の生存幼虫の蛹化率はそれぞれ14.3, 58.3, 65.4, 91.7, 89.7%で,臨界域が広いがLD13:11前後が臨界日長と考えられた。しかし,室内網室から得た幼虫の加温ではそれぞれ,11.8, 12.0, 47.6, 76.2, 82.6%で,臨界日長が約1時間長くなった。室内では割材日までに経験した気温が高く,日長が長かったと考えられ,そのため休眠消去の程度が浅かったので臨界日長が長くなったのであろう。加温開始から蛹化までの日数は日長とともに短くなる傾向がみられた。
  • 上田 明良, 藤田 和幸, 浦野 忠久, 山田 倫章
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 169-172
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    オオコクメスト成虫放虫によるマツノマダラカミキリへの捕食効果を,アカマツ丸太を入れた網室に双方の成虫を放すことで調べた。1996年の試験では7月の2週間,双方の成虫を同時に放した。放虫後回収したカミキリはほとんど生存していて,死亡したわずかも外傷はなかったことから,野外での成虫によるカミキリ成虫の捕食はないと判断できた。また,期間中放飼虫は飢えていて,ほとんど産卵できなかったと思われた。そこで,1997年の試験では,餌としてマツノマダラカミキリ終齢幼虫を丸太に針で刺した。卵巣の発達状況から産卵は行なわれたと考えられたが,割材調査ではカミキリ幼虫数に対照区と差がなく,放した成虫の子世代による捕食効果はみられなかった。キクイムシ類の加害が全ての丸太に多くみられた野外網室からは3頭のオオコクヌスト幼虫が得られたが,カミキリがいるだけでキクイムシ類がいなかった室内網室からは1頭しか得られなかった。このことは,野外丸太のような多様な生物が住む丸太ではオオコクヌストの生育が良く,捕食効果が上がるであろうことを暗示する。
  • 岡本 安順
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 173-178
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    マツノマダラカミキリに対するクロアリガタバチの寄生による密度抑制効果を明らかにするため,2つの放虫実験を行った。ボーベリア菌付着ハチ放虫実験においては,管瓶内,野外網室内,野外枯損立木上に菌を付着させたクロアリガタバチを放してマツノマダラカミキリへの寄生状況と菌による罹病率を調査した。マツノマダラカミキリ幼虫の罹病率は管瓶内では87%,野外網室内丸太では89%で高い寄生効果が認められたが,野外枯損立木では13%にすぎなかった。ハチ大量放虫実験においては,野外枯損立木の表面1m^2あたり800頭のクロアリガタバチを放して寄生状況を調査した。マツノマダラカミキリの空室の蛹室率は50%で,ハチを放さなかった枯損木の9%に比べ高かった。
  • 河井 美紀子, 周藤 成次
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 179-182
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    スギ暗色枝枯病によって樹幹に生じた永年生がんしゅの被害を島根県では初めて発見した。被害は羽須美村の17年生のスギ造林地で発生した。発病率は山腹斜面の中部と下部では約25%に達したが,上部では3%に留まった。患部は枝打痕を中心におもに垂直方向に筋状に拡大した。患部では形成層が壊死して肥大成長が停止し,周囲にカルスが巻き込んだ。患部を中心に変色した木部から病原菌Guignardia cryptomeriaeを分離した。陥没した患部は地際から地上4mに及び,また木部の変色は地上6mに達した。患部での肥大成長は1994年に著しく不良で,1995年には停止した。したがって,発病は1994年の秋期から1995年に生じたと推定する。被害が激発した場所は傾斜度35°と急峻で石礫を含んだ。また,1994年7〜8月は干ばつであった。樹幹の水ストレスを起こすこれらの環境条件が本病の発生誘因になったと考える。
  • 金森 弘樹, 周藤 成次, 扇 大輔, 河井 美紀子, 井ノ上 二郎, 大国 隆二
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 183-186
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    1994-1998,島根半島弥山山地においてニホンジカの個体数と行動を明らかにするためにライトセンサスを行った。個体数は3調査ルートで夏期と秋期に調査した。シカの個体数は調査ルート1km当たり1.1〜2.3頭であった。個体数密度は出雲と大社・猪目が平田に比べて高かった。100メス当たりのオスの個体数は秋期が夏期に比べて多かった100メス当たりの子の個体数は20〜28頭と少なかった。オスグループは秋期には減少し,ハーレムは秋期にのみ観察された。個体数密度は針葉樹幼齢林,法面,草地で高く,シカは草本類を摂食するためにこれらの場所に集中したと考える。
  • 保原 達, 徳地 直子, 大手 信人
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 187-188
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 荒木 誠, 鳥居 厚志, 金子 真司, 青木 隆
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 189-192
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    人工林における間伐等の保育管理が土壌炭素貯留量に及ぼす影響を明らかにするため,ヒノキ人工林において適当な間伐が繰り返し実施されてきた林分(間伐区)と,それに隣接して無間伐で成長してきた林分(無間伐区)において土壌炭素貯留量の違いを比較検討した。その結果,A層+AB層までの炭素貯留量は,無間伐区で39.5t/ha,間伐区で68.5t/haであった。また,B層,BC層を加えた土壌1m深までの炭素貯留量は,無間伐区で98.8t/ha,間伐区で159.3t/haであった。この違いは,間伐区の方が無間伐区より表層土壌が厚かったことによる。間伐によって維持された下層植生が,表層土壌を保護し土壌有機物を供給することによって,間伐区の表層土壌を発達させ,保全したものと考えられる。
  • 前田 雄一
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 193-196
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 倉本 惠生, 田淵 隆一, 大黒 正, 酒井 敦, 酒井 武
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 197-198
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 上山 泰代
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 199-202
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 田端 雅進, 阿部 恭久
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 203-204
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 西垣 眞太郎, 竹下 努
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 205-208
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    ヒノキ漏脂病の病原菌を確認するため,ヒノキ漏脂病患部から分離したいくつかの糸状菌Cistella japonica, Cryptosporiopsis abietina, Amylostereum laevigatumおよび未同定菌の接種試験を行った。接種1,2年後まではすべての接種菌の接種部位,また対照区でも樹脂流出が観察されたが,7年間樹脂流出が継続した接種部はC. japonicaを接種して生じた患部からであった。また,7年後の調査でC. japonica接種によって生じた患部では樹脂のうの形成形成層の壊死が観察された。こうした患部の外部,内部病徴は漏脂病の自然発病患部に類似した。患部組織からはC. japonicaが再分離されたが,樹脂流出が継続している患部からは再分離率が高かった。一方,他の接種菌では発病を認めなかった。これらの結果,C. japonicaがヒノキ漏脂病の病原菌であることを確認した。
  • 都築 伸行, 山田 茂樹
    原稿種別: 本文
    1999 年 8 巻 p. 209-212
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
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