森林応用研究
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楽器用材の利用 : ピアノ製造業を事例として
大代 朋和
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1999 年 8 巻 p. 13-18

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抄録

楽器用の木材は音響上高品質が要求される。本研究では日本国内で大量に生産されているピアノに注目し,ピアノに使用される木材,特に響板材料がどのように変化しているのか明らかにする。日本においてピアノ生産が本格的に開始されたのは戦後のことである。特に昭和30年代後半からピアノの生産量は急増した。このピアノ生産量の増加に対応するために原材料,特に木材の安定供給が必要不可欠であった。当時日本で一般的に使用されていた響板材料であるエゾマツは資源量が減少し,伐採量も急激に落ち込み始めていた。しかし昭和36年に木材の輸入が自由化され,エゾマツの代替材としてシトカスプルースが使用され始めた。現在ではシトカスプルースが供給の安定性という点で主流となっている。しかしながら,量的には少なくなっているがエゾマツの利用が続いているほか,近年ではヨーロピアンスプルースやチャイニーズスプルースの利用が始まっている。ピアノ製造業では,ピアノ需要の落ち込みによる生産量減少に対応するため,グレードの違う木材を利用することで幅広いユーザーの獲得を目指している。

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© 1999 応用森林学会
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