森林応用研究
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森林土壌の通過に伴う溶存有機炭素の蛍光特性の変化
中西 麻美徳地 直子勝山 正則
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1999 年 8 巻 p. 95-102

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抄録
森林流域内の土壌溶液,地下水,湧水および渓流水の蛍光物質について,三次元蛍光光度法を用いて分析を行った。得られた三次元蛍光スペクトルから,検出された蛍光物質はフルボ酸様物質であることが示された。斜面上部・中部・下部の3地点において採水した土壌溶液の蛍光特性は,斜面の位置および土壌深度により異なった。斜面中部では深さ方向で蛍光強度ピークが低下し,異なる蛍光特性を示した。不飽和帯型の井戸における地下水は斜面上部・中部の表層での土壌溶液と同じ蛍光特性を示し,不飽和型井戸の地下水は飽和側方流による土壌溶液の移動により生じることが確認された。飽和帯型井戸の地下水と土壌溶液の蛍光特性は異なりまた飽和帯型井戸および湧水,渓流水では明らかな蛍光強度ピークは認められなかった。流域内の試料水の蛍光特性は大きく3つのタイプに分けられ,この分類は腐植物質の空間分布と一致することが推察された。森林流域の溶存有機炭素の分析において三次元蛍光光度法が有効であることが示された。
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© 1999 応用森林学会
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