アプライド・セラピューティクス
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系統的論文調査による回復期患者における 尿酸生成抑制薬に関するフォーミュラリの構築
金井 紀仁鈴木 義人
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 10 巻 p. 26-46

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抄録

【背景】適正で費用対効果に優れた薬剤を継続的に定め、薬剤の選択を管理するために フォーミュラリが用いられる。高尿酸血症の患者を対象に、尿酸生成抑制薬に関する系 統的な論文調査をすることで、フォーミュラリを構築することを目的とした。 【方法】フォーミュラリ構築の手順は以下の通りに行った。1)アロプリノールとフェ ブキソスタットを直接比較した2017 年5 月までの臨床論文を系統的に抽出した。2) 以下の評価項目に関して質的に評価した: 臓器障害の予防、痛風関節炎の予防、尿酸値 低下作用、尿酸値6.0mg/dL 未満への達成率、副作用。3)同等量、薬剤費を評価し、 医薬品の使用の優先順位を付けた。 【結果】7 報の論文が選択された。有効性においては、臓器障害予防と痛風関節炎の予 防効果は同程度であった。アロプリノール1 日200/300 mg とフェブキソスタット1 日 40 mg においては尿酸値低下作用と尿酸値6.0 mg/dL 未満の達成率は同程度であった。 尿酸値6.0 mg/dL 未満の達成率に関しては、フェブキソスタット1 日80 mg 以上の投与 はアロプリノール1 日200/300 mg やフェブキソスタット1 日40 mg の投与よりも有意 な結果を示した。両薬剤間において重大な副作用に違いは見られなかった。アロプリノー ルにより目標尿酸値まで低下できた患者においてはフェブキソスタットから開始するよ りも薬剤費を抑制できることが示唆された。 【結論】高尿酸血症患者への尿酸生成抑制薬のフォーミュラリはアロプリノールを第一 に選択し、尿酸値が目標まで到達しない場合や忍容性がない場合にフェブキソスタット を選択することとした。

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© 2018 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
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