アプライド・セラピューティクス
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2型糖尿病治療薬の週1回製剤デュラグルチドと連日製剤リラグルチドにおける検査所見の比較
石村 淳 生島 五郎
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2021 年 16 巻 p. 17-24

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抄録

2型糖尿病治療において、合併症の発症等を予防するためには血糖値のコントロールが重要である。近年、治療薬の中でもGLP-1受容体作動薬は、海外の主要な糖尿病治療ガイドラインにおいても使用が推奨されており、様々な研究が行われ、血糖値改善効果のみならず、脂質値改善作用、肝機能異常値の改善、腎保護効果など多面的作用が期待されている。GLP-1受容体作動薬には、週1回投与の長時間型製剤と連日投与の短時間型製剤が存在し、アドヒアランスは週1回投与の方が良いとされるが、検査所見での比較の報告はない。そこで、GLP-1受容体作動薬の中でも高い処方率を占める週1回製剤デュラグルチドと連日製剤リラグルチドの2剤について検査所見の比較検討を行った。調査はレトロスペクティブに行い、HbA1c、LDL-C、HDL-C、トリグリセリド、AST、ALT、γ-GTP、eGFRの8項目を診療録から抽出し、投与開始時と投与開始6ヶ月後の変化を評価した。その結果、デュラグルチド群とリラグルチド群は、両群ともに投与開始6ヶ月後でHbA1cの有意な減少が認められた。さらに、デュラグルチド群では、トリグリセリドにおいても有意な減少が認められた。したがって、デュラグルチドとリラグルチドは脂質値改善効果も期待できることが推察された。

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© 2021 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
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