アプライド・セラピューティクス
Online ISSN : 2432-9185
Print ISSN : 1884-4278
ISSN-L : 1884-4278
香りつき製品による香害に対する薬剤師の役割:モニター調査からの考察
櫻井 浩子
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 19 巻 p. 18-28

詳細
抄録
今日、柔軟仕上げ剤の利用が生活に定着する一方で、2008年以降柔軟仕上げ剤のマイクロカプセル製法による被害が報告されるようになった。本研究では、柔軟仕上げ剤など香りつき製品による被害の状況と体調の変化などについてwebアンケートを行い、結果を踏まえ環境衛生の観点から香害に対する薬剤師の役割を考察した。インターネット調査会社に登録している日本人男女を対象とし、有効回答は348人(有効回答率:94.6%)であった。香りつき製品による体調不良が「ある」と回答した人は21.8%であり、その具体的な症状では「吐き気」、「頭痛」、「くしゃみ・鼻水」が挙げられた。症状の原因と思われる製品として、「柔軟仕上げ剤」が44.7%と最も高かった。被害後は「人混みを避けるようになった」が26.3%であった。香りつき製品による被害をなくすための対策として「香りつき製品の使用についてルールを決める」が挙げられた。しかし、香りつき製品による健康被害や「香害」という言葉が社会に周知されていないため症状への理解を得られず、個人の嗜好の問題と誤解されることが危惧された。こうした状況に対し、薬剤師には環境衛生の観点から相談に応じること、企業や関連団体と連携し地域住民に対し香りのマナーや適正な使用、香害について啓蒙普及していく必要性が示唆された。
著者関連情報
© 2024 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
前の記事 次の記事
feedback
Top