失語症研究
Online ISSN : 1880-6716
Print ISSN : 0285-9513
ISSN-L : 0285-9513
原著
視覚性運動失調の臨床症候と経時的変化からみた重症度の検討
前島 伸一郎駒井 則彦重野 幸次中井 國雄土肥 信之
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 11 巻 2 号 p. 131-139

詳細
抄録
視覚性運動失調20例の臨床症候と経時的変化ならびに神経放射学的所見を検討し, 重症度と責任病巣について考察した。初診時随伴した神経心理学的症状は, 半側空間無視3例, 精神性注視麻痺2例, 視覚性注意障害1例, 構成障害16例, 着衣失行2例, Gerstmann 症候群6例であった。重症例では周辺視野内対象物の把握障害(ataxie optique : AO) のほか, 発症早期に注視下対象物の把握障害(optische Ataxie : OA) を伴っていた。病巣と反対側手の AO の多くは, 数週から数か月の間に病巣と反対側の周辺視野の AO へと変化した。発症早期より病巣と反対側の周辺視野の AO のみを呈する例もあった。 OA の出現には病巣の大きさが関与し, AO の責任病巣としては, 従来言われてきた頭頂後頭葉白質, 特に上頭頂小葉近傍での障害が重要であるように思われた。把握手と反対側の周辺視野におかれた対象物を捕える場合は脳梁への関与も示唆された。
著者関連情報
© 1991 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
前の記事 次の記事
feedback
Top