2017 年 73 巻 2 号 p. I_321-I_331
地盤構造の探査手法の一つである微動探査法では,観測データの処理時には非定常的なノイズの少ない時系列ブロックを一般に目視で抽出する.しかし,観測データ量が大規模化している潮流にある現在では,一連のデータ処理プロセスの中でこの人的な手続きが大きな時間的ボトルネックとなりうる.そこで本研究では,性能の高さから近年注目されている深層学習を用いて,常時微動記録から解析に適した時系列ブロックを自動抽出する手法を開発した.深層学習手法として多層パーセプトロンと畳み込みニューラルネットワークの2種のモデルを適用し,実観測記録から構築したデータセットを用いた交差検証法によって,人的な抽出と提案手法とでは最大約95%の精度でノイズ有無の判断結果が一致する結果を得た.